ラベル

2026年6月29日月曜日

変動金利の上昇について(2026)



1年半ほど前に、住宅ローンの金利が上昇している話を書いた。しかし、繰上げ返済には慎重であるべきという話である。

https://hiderot.blogspot.com/2024/10/blog-post.html

当時は少しずつ上がり始めているという程度の話だったが、いつの間にか無視できない程度の規模になっている。1%はゆうに超えつつある。35年の固定金利という場合には4%に至ろうという勢いである。

すでに借りている人にとっては、改めて繰上げ返済が検討されることになる。当然、通常の預金金利や株のリターンも増えていると考えられるため、必ずしも返済は合理的な一手ではないが、いっときよりは真剣に考えるに値する水準に達している。

幸い、銀行金利も定期預金であれば1%に達し始めている。その意味では、同じ金額があれば今も昔も金利上の問題はあまりない。むしろ選択肢が広がっている今日、同じ金額があれば別に投資しておいても良い。

問題は資金がないという場合だろう。金利はもう少し上がりそうであることを想定すれば、早めに手を打った方がいいかもしれない。

金利のある時代に戻ったことはとても興味深い。かつ、それは昔に戻ったというだけではない。戦争リスクは以前よりも高く、ドルも円も不安定であり、金も安定資産というよりは投機化された。半導体の循環的な変動も失われている。基本的にわれわれにできることは、そもそも予測などできないという基本理解を改めて確認することである。そして、であるのならば基本戦略は分散であり、ポートフォリオを充実させるしかない。きっと誰かは博打を打って成功するのだろう。それは読みが鋭いのではなく、単に運が良いだけである。

2026年5月16日土曜日

つみたてNISA早わかりガイドブック。正しい。

つみたてNISA早わかりガイドブックは、金融庁によるガイドブックである。別のサイトで、変なことが書いてあって引用されていたので気になって見てみたが、至極正しいように見受けられる。投資をどうしようかという場合には読んでおくとよさそうである。

ーー

つみたてNISA早わかりガイドブック

ーー

基本は分散、長期である。画像を引用させてもらうと、5年程度の積立投資の場合、リターンは元本割れも含めてばらつきが出る。しかし、20年程度続けると、リターンは2-8%程度に収まるようになる。

これは大事なことであり、短期では儲かったり儲からなかったりするが、長期になればなるほど、ある程度リターンが出る方向で収束するということである。ただし、「資産・地域を分散して」いることが前提であり、一点集中の場合にはこの限りではない。


最初に見たサイトでは、この話を引用しながらも、「だが2026年現在、年利8%超を狙う層と、市場平均以下に留まる層の間には、運用スタイルの「決定的分岐点」が存在する。」とあり、前提からおかしなことになっていた。ガイドブックは短期で見てはダメだと言っているのに、短期におけるばらつきに注目しようとしている。そして、「資本効率重視の個別選別」が大事だという。結局「資産・地域を分散」も無視していた。

いつものことながら、分散し、長期で持つのが基本戦略であろう。確かに、半導体株を買っておけば良かったと思ったり、金ならば安全でかつ儲かるのではと思うこともある。短期であれば、その通りであり、自分だけはそうした抜け駆けができるぐらい賢いのではないかと思うこともある。だが、それは幻想である。

市場の成長の通りに成長するのが良い。稼いだり抜け駆けするのは、もっと非効率な世界、つまりは現実、日々の日常で努力するのが良い。




2026年4月3日金曜日

プライベートクレジットのリスク

去年あたりからのニュースで、プライベートクレジットファンドの解約が増えているという。解約を制限する企業も増えており、金融不安に対するリスクとなっている。

ーーー
プライベートクレジット解約急増の理由を解説-金融危機の兆候なのか
Yahoo!ニュース
ーーー

詳細に関する知識はないが、昨今広まってきた投資信託やETF、あるいはインデックスの流れから考えると興味深い。これまでも繰り返し述べてきたように、株式投資の基本戦略は全ベットであり、いわゆるオルカンがベストである。その一方で、誰もが、あるいは投資会社は特に、市場を上回るリターンをいつでも目指す。私だけは、もう少しうまくできると思う。その企業の一つがプライベートクレジットファンドであろうと思われる。

市場リターンを上回るためには、セグメントを特化することや、アクティブ運用が必要になる。それはリスクに他ならないが、短期的には、確かに市場リターンを上回ることも可能になる。それ自体は悪いことではないが、競争が激しくなれば、怪しいセグメントへの特化や組成、よりリスクの高い運用も増えてくる。これらが改めて金融不安に対するリスクとなるのは当然である。

この問題はかつてのサブプライムと同じである。今回はセグメントがサブプライムローンに限られていない点は厄介かもしれない。その一方で、当時の知見を踏まえて何かしらの安全策がすでに構築されているはずだと考えれば(例えば解約の制限など?)、同じ問題だから今も同じリスクであるとはいえない。

あるいは、プライベートクレジットファンドの問題にとどまる限りは想定内、ということになるのかもしれない。サブプライムの時代とは異なり、オルカンについてはわれわれ一般人にとっても当たり前の戦略となっている。もしも金融不安がわれわれにまで波及するというのならば、これまでにないリスクということになるだろう。

ただそれでも、オルカンの基本指針は長期であり、だからといって何かをする必要はないという点は強調するに値する。というよりも、特に何かをしてはいけないのである。そんなことよりも、今日の生活を充実させるべきだろう。

2025年12月12日金曜日

「SBIラップ」の検討

SBIラップが2000億円を超えたという記事を見た。多いのか少ないのかはわからないが、それなりの額である。
ーー

ーー
もともとラップ口座については手数料の高さからポジティブではないのだが、AI運用の成果も記載されていた。もしAIを通じてアクティブ運用が可能であれば、それはそれで魅力的なのかもしれない。

サイトを見てみると、バックテストの結果が示されている。この結果を見ると、他にもロボタイプはあり、どちらも伸びているように見える。特にAIラップの場合、2014年11月から2024年11月までの10年間で、191%、つまり約3倍になったということだろうか。基準が0%となっているので、多分そういうことだろう。

ーー

ーー

それなりに伸びているようにも見えるが、日経平均自体、この10年でかなり伸びたことを考慮する必要がある。

ーー

ーー

大体同じ期間の日経平均の推移を見ると、16,000円ぐらいから時期にもよるが40,000円に到達している。伸び率は、2.5倍程度である。AIラップの方がもう少し伸びが大きいことになる。一般のロボタイプは劣っているだろうか。

日経平均と比べるのは正しくないかもしれない。このAIラップは、ファンド対象が基本的に海外だからである。仮にSP500の場合はどうだろうか。

ーー

ーー

2014年ごろに1,500だったSP500は、2024年ごろにはほぼ6,000に到達している。4倍である。この値で言うと、AIラップは劣っている。

一概にどちらがいいかは言えないかもしれない。AIラップの方が分散が効いており、ボラティリティを低く保ちつつリターンを上げるのかもしれない。

少なくとも言えそうなことは、やはり基本的なインデックスを上回りそうにはない。これは、単に市場は最適化されているということの再確認でもある。AIがもっと賢くなろうとも、その総意である市場は、常にその個別よりも正しいと言うことにすぎない。

2024年12月11日水曜日

金利のある時代



にわかに銀行の金利が上がり始めている。新生銀行は、1年定期で0.8%だという。少し前までは0.1ぐらいであったから、ここにきて一気に上がり始めたことがわかる。paypay銀行は仕組債のような話で2%を謳ってニュースになっていた。これはちょっとどうかと思うが、それでも、総じて銀行金利が上昇傾向にあることは確かだろう。

ーー
円定期預金 冬の金利アップキャンペーン開催のお知らせ
SBI新生銀行

預金金利2%の「預金革命」PayPay銀行 口座開設申し込みが通常の40倍 “金利のある世界”で預金獲得競争へ
Yahoo!ニューズ
ーー

バブルが崩壊して以降、日本では長らく低金利、超低金利の時代が続いた。銀行に預けてもお金は増えない。だからと言ってお金の使い道がないことに大きな問題があったわけだが、銀行でもお金が増える時代がやってくるのかもしれない。1980年代ぐらいの金利にはなりそうである。

ーー
「金利のある世界」へ変わる日本。生活への影響は ? コスト増に備える方法も
大和ネクスト銀行
ーー

例えば、paypayよろしく、本当に銀行金利が2%程度になった場合にはどうするのがいいだろう。インカムゲインを想定するETFの場合、しばしば利回りは2%程度であろう。元金変動のリスクを考えれば、銀行預金の方が安全ということになってしまう。

もちろん、そこまで銀行金利が上がるときには、株式はもっと利回りが良くなるはずだと予想することもできる。それは自然な姿だが、この30年の流れからすると、銀行、債券、株式がそれほどうまく連動して変動するとは限らないようにも見える。銀行の金利が上がれば、基本的には、多くの人々は昔のように銀行に預けるようになるだろう。だからと言って、株式の利回りが上がる(それはつまり、株価が下がったり、配当が上がる)とは限らない。お金が余っている今日、あるいは市場のお金の量を積極的に操作できる今日、三者関係がそれほど密接であるようには思えないのである。

あくまで重要なことは、ポートフォリオである。新しい選択肢の一つとして、久しぶりに銀行預金が加わるということだろう。リターンがほぼゼロだったこれまで、銀行という選択肢はほとんど意味を持っていなかった。だが、銀行にも金利がつくようになり始めた。基本戦略自体には変更はないが、銀行、債券、株式の組み合わせでリスクを最小化し、リターンを最大化する必要がある。

2024年10月4日金曜日

住宅ローン変動金利の上昇について

日本での利上げが始まるにつれ、住宅ローンの金利の上昇が話題になっている。特に中心なのは、固定金利ではなく変動金利の方である。2000年代のマイナス金利下において、変動金利も極めて低い値となり、これにより多くの人々が変動金利の住宅ローンを選択したためである。例えば、住宅金融支援機構の調査によれば、住宅ローン利用者の約7割が変動金利を選択しているとされている。

ー

住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)】

ー

個人向けの住宅ローンを多く提供している住信SBIネット銀行の場合、年0.15%から0.2%程度の上昇がみられるようである。1000万円借りているとすれば、年1万5000円から2万円程度の上昇ということになる。これがさらに30年続けば、合計で45万円から60万円程度の上昇である。

ー

10月の住宅ローン変動金利上昇、月数千円の返済負担増

ー

月に直せば数千円程度であるから、仮にもう少し借りているとしても、返済不可能なわけではない。しかし問題は、今後も中長期的には上昇が見込まれるということであろう。1%まで上昇すれば、月にして万単位の上昇となる。危惧を覚える人も多いと思われる。

選択肢の一つは、当然前倒しの返却である。実際、SNS上では繰上げ返済についての言及が見られる。

「金利が上がる前に繰り上げ返済を考えている人が多そうだけど」

「住宅ローンも借金なんだからさっさと返すのが良い」

とはいえ、いつもいうように、仮に繰上げ返済できるのであれば、繰上げ返済しない方が基本的には良い。繰上げ返済の資金を使い、NISAでETFなどを買うのが合理的である。例えば、MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信 (2559)のようないわゆるオルカンであれば、年1.5%の利回りを見込める。これはインカムゲインであり、株価そのものの上昇であるキャピタルゲインは含まない。下落のリスクを気にする人が多いが、全世界の平均株価が下がる時には、どのような形でお金があっても無意味な時期である(そこでさらに利益を上げられるような人は、住宅ローンに拘泥などしないだろう)。

仮に0.15%程度住宅ローンが向上しても、1.5%のETFに余剰資金を投資しているのならば、単にETFのリターンが1.35%に減るに過ぎない。これを繰上げ返済に使ってしまえば、1.5%の利回りを失うことになる。お金を借りて損をするのならば、借りる必要はない。しかし借りて得をするのならば、返す必要はない。

基本的に、住宅ローンの上昇が見られる状況では、銀行預金や株価の配当も上昇することが予想される。結果的に、住宅ローンの上昇分は、投資の利回りで相殺されると考えられる。繰上げ返済能力のある人々は、投資を考える方が良い。

住宅ローンの上昇は、繰上げ返済能力がない場合に大きな問題となる。上昇分は、日々の家計を直撃することになるだろう。この場合には早めに手を打った方がよい。選択肢は、住宅の売却である。現状は幸い都市圏において住宅価格が上昇しており、チャンスだろう。利益が出れば、この利益を投資に回すという新しい選択肢が生まれるとともに、予想される住宅価格の下落後、再購入と今度は住宅ローンの上昇に耐えられる資金力を持つことができるようになる。

住宅ローンの上昇は、二極化を進めるだろう。借金を通じて利益を増やせる人々と、借金を通じて家を失う人々がでるということである。

2024年3月19日火曜日

松里公孝「ウクライナ動乱―ソ連解体から露ウ戦争まで」2023ちくま新書


 ロシアとウクライナの戦争が始まって、もう2年が過ぎた。テレビや新聞の議論は、民主主義国のウクライナを専制国家のロシアが侵略したので同じ価値観のアメリカ、日本、NATOはウクライナに味方して援助する、という構図が前提となっている。ロシアが勝ったら、国際社会は、無法状態になりかねないとも言われている。 

 しかし、本当にそうだろうか。実は、私には上の議論が、50年前の記憶と重なる。50年前、アメリカは南ベトナムを手助けして、北ベトナムを攻撃していた。資本主義国のアメリカが南ベトナムを助け、共産主義の北ベトナムと戦っていた。南ベトナムが敗けたら、共産主義が次々に広まってしまう、と言われた。この考えは、ドミノ理論と呼ばれた。しかし、本当にそうだったか。ベトナムでは、実に多くの人が殺されたが、なぜアメリカがベトナムで戦かわねばならなかったのかは、今となってはよく分からない。

  さて露ウ戦争が、ベトナム戦争と性格が異なるのは明らかだ。としても、敵味方に分かれて、絶対に敗けられないと息巻くのは、今も昔も同じだ。この本は、多くのことを教えてくれている。それは、敵味方の認識構図とは無縁な、より堅固な視座を持っているからだ。著者の研究方法の特色は、「さまざまな登場人物の見解を聞き、紹介するということ」であるという。著者はロシア語やウクライナ語が堪能であり、特に専門のウクライナについては露ウ戦争前、現地の政治家など関係者に毎年インタビューを積み重ねてきた。問題のマイダン革命の影響についても、著者は、次のように書いている。

「私は『構造がアクターの行動を規定する』という演繹的なアプローチでは、エスカレーションの政治はうまく説明できず、むしろそれは出来事の連鎖として素直に説明したほうが良いと思う」。ソ連崩壊後の各共和国の帰趨、特にウクライナのマイダン革命後の政治混乱、更に露ウ戦争への道は、まさにエスカレーションの経過として、この本からよく理解できるように思う。多くの情報を踏まえて、貴重な洞察が示されるが、私には以下の点が印象に残った。

 ①ソ連解体の理由の一つは、最大共和国であったロシアが、解体を事実上促進したことだ。資源を独占して西側に直接輸出した方が、ロシアは儲かると・・。しかし、資本主義への復帰が豊かな経済をもたらすという期待は、結局見当はずれだった。他の旧ソ連国も同じだ。

 ②2008年以降の旧ソ連圏における戦争や紛争(カラバフ、南オセチアなど)は、すべてソ連末期の分離紛争の再燃という性格を帯びている。また、2014年以降のウクライナ危機の源泉は、クリミアとドンバスの分離紛争である。ただし、両地間の分離主義は一様ではない。

 ③分離紛争には、三種類の国家が関わる。まず分離政体(例えばドンバスの2共和国)。次に分離政体が以前所属していた国家=親国家(例えばウクライナ)。最後に外から分離政体を応援しているパトロン国家(例えばロシア)。解決法は、親国家の連邦化、親国家の再征服、パトロン国家による親国家の破壊、その他、領土分割やパトロン国家の分離政体の承認がある。ウクライナ動乱でも、まさにそれらが現在も試みられている。

 ④著者によれば、そもそも分離紛争は、国連信託統治のような非主権国家的な解決法が大規模に採用されるようにならない限り、解決が難しい。分離紛争を「解決」して、恒久的な平和を目指そうなどとすると、かえって戦争を誘発する。

  ③や④から、改めて国家とは何かと考えさせられる。本来、人々は、だれも平和で豊かな生活を望む。国家観念を前提せずに、殺し合いに至らぬ道を工夫する知恵が、何より必要だ。 

2023年10月8日日曜日

お金がなければ借りることはできない?

そういえば思い出したことがある。子供の頃見ていたテレビ番組で、ざこば師匠が怒って話をしていた。銀行に3,000万円とか借りに行ったと。そうすると向こうの担当が、「師匠、3,000万円貯金してください。そしたら3,000万円貸します」と言ったという。ふざけるな、「3,000万ないから借りに来てるんや!」というわけである。

当時、それはそうだな(もちろん笑い話のネタである)と思った記憶がある。理由も金額ももう定かではなくなったけれど、お金はないから借りるのであって、あれば借りなくてもいいーー

しかし今となっては、この認識が間違っていたことがわかる。お金がない時にお金を借りるのはジリ貧のリスクがある。王道は、お金がある時に借りるのである。3,000万円ある上で3,000万借りれば、相手も損するリスクは少ないし、こちらも返せないリスクは減る(これはある意味形式的)。そして重要なこととして、こちらは、実質6,000万円を動かせることになる(これが本丸)。

ファイナスの授業でも、似た話を昔聞いた。お金がない時には、当然そのお金を埋めねばならない。一方で、お金が余っている時には、そのお金を使わねばならない(残すのは機会損失ととなる)。忘れがちなのは、余っている時にどうするかと言うことである。ない時に借りると言う発想は自然だが、ある時にこそが重要であり、借りる意義も高まる。

個人ではなかなかここまではできないかもしれない。お金がある時に借りてレバレッジをかけるのは、基本的に企業がなせる技だろう。とはいえ参考になることもある。

2023年9月28日木曜日

新NISA(2024-)に向けて

 2024年からNISAの制度が変わる。これ自体はすでに周知の事実であり、年間最大360万円まで、5年間で最大1800万円枠となる。具体的な取り扱い商品も各証券会社や銀行で充実している(とはいえ、新しいものを買う必要性はほとんどなく、基本で十分である)。少し備忘録。

ーーー

新しいNISAのポイント(金融庁)

ーーー

改めてみてみると、いくつか当初にははっきりしていなかったり、個人的に間違って理解していたところがあった。

1。年齢制限がある

ジュニアNISAが廃止になることは知っていたが、その意味は年齢制限がなくなったということだと理解していた。しかしながら、年齢制限は残っており、18歳以上しか新NISAを行うことはできない。家族が多い方が有利という話も当初はあったように思うが、そういうわけではなくなったようだ。少子化対策と結びつければ良かったようにも感じられる。

ちなみに、その分以前のジュニアNISAは、18歳まで継続管理勘定に移管され、非課税で保有できるらしい。途中で払い出すこともできるが、一部を払い出すことはできず、全てを払い出して口座を閉じる必要がある(例えば、auカブコム証券の説明)

2。旧NISAは1年ずつ終わっていく

新NISAは旧NISAとは異なるものとして認識され、移管することはできない。したがって、旧NISAもしばらく並存することになる。と同時に、旧NISA(一般)であれば、5年ごとに終了(以前であれば、改めてロールオーバーできた)していく。例えば、2023年末において、2019年に購入したNISAは「満期」となる。旧NISA(つみたて)の方は20年であるので、「満期」はだいぶ先である。

「満期」後は、払い出すか、一般・特定口座に移管される。払い出しを選んだ場合は、例えば、改めて2024年の新NISA購入の資金となる。120万円の旧NISA枠(一般)をいっぱいに持っていたとすれば、これを払い出した場合(利益は考えず)、2024年の新NISAに必要な最大新規資金は360-120で240万円となる。移管する場合は、別途買い増すような形になる。360万円が新たに必要となる。

3。「非課税保有限度額」(1800万円)について、「枠の再利用が可能」

ここはよくわからないので、間違っているかもしれないが、5年通算枠ということであるように思われる。マネックス証券の説明では、「したがって、売却をした翌年になれば、復活した枠を再利用して新NISAでの買付を行うことが出来ます」とある。ただし年間投資枠の上限はもちろん変わらず、360万円である。

旧NISAの場合、5年ごとの更新であったため、年の縛りがあった。例えば、2019年に120万円購入し、2020年にさらに120万円を購入し、その2020年の120万円をすぐに売却した場合、2019年の5年後、2024年に新たに生まれる120万枠は2019年のロールオーバーで使用されてしまい、2020年分の120万円枠を実質的に使うためには2025年まで待つ必要があった。これに対して、新NISAでは、5年の縛りはなくなり、無期限となった。このルールが意味を持つのは、2028年(5年後、1800万円枠がいっぱいになってから)ということになるが、いつ買ったかにかかわらず、翌年には360万までの再購入枠が復活する。例えば、2028年に購入した360万円を年内に売却した場合でも、2029年には、改めて360万円が購入可能となる。フルで使用しない場合にはそれほど問題ではないが、フルで利用するという場合には有用なルールである。

4。結局どうすればよいのか?

 1800万円をフルに使ったとして、もしインカムゲインを考えるのであれば、年4%でみれば72万円、通常であればここから約20%の14万円程度が税金で引かれるはずであった。この税金が非課税となる。これを大きいとみるか、それほどでもないと感じるかは人によるかもしれない。キャピタルゲインや細かい売買を考える場合には、より多くのメリットがあるかもしれない。

 基本戦略はこれまでと変わらず、安定的なものを積み立てていくということになるだろう。




2023年7月3日月曜日

大航海時代originで遊ぶ

このところ、大航海時代originをしている。大航海時代Ⅱのリニューアル版であり、韓国メーカーによって製作、運営されている。コーエーが本来はがんばるべきところだが、既に日本のゲームメーカーに同様の力はないだろう。コンテンツそのものが優れているのだから、特定の開発に特化するか、あるいはIP戦略をとることは理にかなっている。

ということで、このゲームはよくできている。そんなに日本で人気が出るとは思わないし、もともと大航海時代Ⅱもそんなに当時人気だったとは思わない。それでも、個人的にフィットしているという感覚はある。しかもこの大航海時代originは、原作を忠実にアップデートしている。ストーリーや設定はもちろん、音楽も一部再現されており、驚くべきクオリティだと思う。

近年では、ゲームのリニューアルは定番的な開発戦略の一つである。考えてみれば、最近の音楽番組なども、昔の音楽を現在の音楽と合わせて流している。様々な分野において、コンテンツが蓄積され、充実しているということの証左だろう。過去のコンテンツは、消費されて消えていくわけではなく、いつでも利用可能な形で残されている。そしてもう一つ、重要なことは、少子高齢化が着実に進んでいるということだろう。ゲームのリニューアルも昔の音楽も、懐かしみ、楽しむのは高齢者である。若い人々も、それを新しいと感じ、受容することもあろうだろう。しかし、それは副次的な効果であるように思われる。



課金しなくても十分遊べる。ようやく、日本に到達した。ジョアン・フェレロの冒険も終盤である。


2022年12月6日火曜日

日経平均銘柄の利回りの向上について

 2022年になり、日経平均銘柄の利回りが向上している。この背景には、コロナ禍を経て米国の金利上昇に伴う円安の進行と、ウクライナ情勢をめぐる物価高騰があると思われる。両者はもちろん結びついており、インフレの進行としてまとめてしまうこともできる。

例えば、このところ乱高下を繰り返すようになった海運株の場合、日本郵船や商船三井は16%近い利回りであり、普通ではない。あるいは日本で高配当としてよく知られるJTにおいても、7%近い水準に達している。

もちろん、全ての銘柄の利回りが上昇しているわけではなく、ある種の二極化の傾向を見ることはできる。株価そのものも上がってしまえば、利回りは減少することにもなる。こちらも高配当を保ってきた銀行株などの場合、三菱グループは4%台を維持し、NTTは3%台前半である。両者の株価は比較的上がってきているようにみえる。

厚切りジェイソンよろしく、これまでは海外の株を買った方が安定的であったのだが、2022年はむしろ国内の株を買った方が良かったということかもしれない。特に為替の影響を考えると、その傾向は強まるだろう。

この場合、例えばETFとしてありえるのは、NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信や50連動型上場投信であろう。70の方は4%、50の方は5%に達している。ちなみに、日経平均まるまるということだと、2%前後というところになる。配当生活を目指すという意味では悪くない。

気になるのは今後であろう。インフレの進行が終わるか、あるいは日経平均そのものの下落というリスクは考えられる。これらもしかし、結びついているようにみえる。2022年、日経平均はほぼ横ばいか、ゆるやかに下落した。インフレなどの進行がプラスには作用しなかったということであろうし、これは世界的な傾向でもある。とすれば、インフレが終われば、日経平均は上昇するということにもなる。さらにインフレが続くとしても、日経平均はしばらくこの感じということになるだろう。

2022年9月30日金曜日

レバナス投資?

 よくあるエピソードを記載した記事をつらつらみていると、「レバナス投資」なる言葉を見つけた。レバレッジ ・ナスダック・投資?だろうか。ハイリスク・ハイリターン投資とあり、ヤバい類のものであるようだ。


ーー

58歳独身女性が青ざめた…老後の「資金不足」に絶望して始めた「ヤバい証券投資」

ーー


記事の内容はまあありそうな感じはあり、第一に、保険の類で儲けようと思ってはいけない、ということが言える。こちらは「変額保険」なるものが紹介されている。詳細はわからないが、いくつかの商品を見た感じだと、保険料の一部をETF系の投資に回して運用するという形のようである。手数料は直接行うよりもやや高いと言った程度の印象だが、実際にはもう少し高くなるのであろうし、途中で解約すると割引される。別途ETFを買える人々にとっては無用の商品であり、よくわからないので保険会社に全部お任せしたいという人向けだといえる。

その限りにおいて、この記事でいうように、「20年前なら入ったらのにな・・・」と思いながら保険ではなく自分でネット証券を開設し、投資デビューしてみたというのは全く正しい。口座は無料で作ることができるし、投資についても手数料はかなり安い。練習がてら買ったり売ったりすることもできる。


ーー

58歳女性が絶句した…「ハイリスクな投資」に手を出して招いた「破滅的な末路」

ーー


とはいえレバナス投資である。後半の記事によると、レバナス投資とは、「レバレッジ型ナスダック連動型投資信託」のことらしい。ナスダックのETFにレバレッジをかけて2−3倍にして運用する。当然利回りや変動も大きくなる。同時に記事にもある通り、完全にETFそのものに連動するわけではなく、長期保有すると目減りすることが知られている。結果、コロナ禍ではナスダックそのものが大きく上がって下がるという状況にあったため、記事では1000万円が3分の1になってしまったとされる。

仮にレバレッジをかけていなかったとしても、2022年において、ナスダック100でよく知られるQQQの場合、400から300を割るまでに下げている。25%減少である。3倍で運用していれば、確かに3分の1になってもおかしくはない。

投資初心者は、長期的な資産形成にはレバナスではなくレバ「無し」を心がけて取り組んでほしいと結ばれている。たぶん、そうであろう。

保険において、20年前ならばと考えたことは悪くない。同様に、投資においても、20年ならばと思うことが必要である。20年前ならば、というよりも、これから20年後を想定する。そう考えれば、第一にレバナス投資は効果的ではない可能性が高い。少なくとも目減りするからである(実際どのぐらい目減りをするのかはネットで見る限りはよくわからず)。

長期を想定すれば、レバレッジ型ではなく、通常のETFとなるだろう。単にナスダックのQQQにしておけばいい(それでもリスクは高めだろうが)。逆に短期で儲けようとしたのならば、レバナスもありだろう。特定の銘柄一点買い(でかつレバレッジ )よりはリスクを分散できる。だがこの場合はギャンブルであり、最悪ゼロになっても仕方ないという余裕資金で考える必要がある。


2022年8月24日水曜日

厚切りジェイソンに学ぶ

特に気にしているわけではないが、最近、時々記事を見かける厚切りジェイソンである。基本的に違和感はない。少し確認しておこう。

ーー

僕の生き方、耐えられない人も多いと思いますよ──コツコツ投資を15年、厚切りジェイソンの“ぜいたく”な暮らし

ーー

現在36歳だという。GEに就職後15年かけてコツコツと投資を続け、いまでは資産運用だけで家族全員が一生暮らせる資産を築きあげている。30歳そここでFIREを成し遂げたとあるが、GEの給料の投資だけでそこまでの資産には至らないかもしれない。詳細はわからないが、ITベンチャー企業の取締役と芸人としての利益もある。

「僕のやっていることは、とっても簡単なこと。支出を減らして、全米インデックスファンドを買うだけ。」

現在の投資の基本はこれであろう。為替の問題はあるが、とりあえずの選択肢はこれしかない。さらにリスクを取りたくないのならば、全世界インデックスファンドを買えばばよい。利回りは下がるが、選択肢はどちらかである。例えば全米インデックスファンドとしてVTIを買っていれば、2001年からみて2020年までに取引値自体がおよそ3倍になっているとされる(56ドル->159ドル)。分配金の再投資を含めれば5倍にもなる(たぱぞうの米国株投資)。厚切りジェイソンの投資も5倍になったとすれば、たしかにそれなりの資産になっているだろう。

ーー


ーー

米国市場にせよ世界市場にせよ、これほど成長することはしばらくはないのかもしれない。だがいずれもグラフを確認すれば、リーマンショック前からみてもかなり線形の右上がりであるようにもみえる。その意味では、引き続きどちらかに(あるいは両方に)投資するという選択肢は基本となる。

重要な点として、投資したままではその資金は生活に使うことはできない。その点では、厚切りジェイソンがいう「僕の生き方、耐えられない人も多いと思いますよ。全然苦だと感じていないんですけど。僕はお金を使わない」ことには留意する必要がある。投資している限り資産は増えるが、基本的にそれは消費に回せるわけではない。

もちろん、切り崩すことや、配当については消費に回すこともできるだろう。これらは有閑階級の基本的なやり方だと思われる。しかし一方で、例えば仮に1億円あったとして、現状においてVTIの利回りは2%を割り1%前半である。彼が父親から聞いたという宝くじで当たった1億円を投資すれば年間600万円の利益をもらうことができる(利回り6%)、状況ではなくなっている。現状、1億あっても、税金を引かれればいよいよ年間で100万円を割ってしまいかねない。

2つの点を再確認することができる。一つには取引値の上昇はキャピタルゲインの源泉であり、資産の増加という点で重要である。しかし、そのままでは消費には貢献しない。一方で配当はインカムゲインとしてその都度の消費に使うこともでき、実生活において重要である。しかし、現状では利回りは低下傾向にあり、事態はそう簡単にはいかない。厚切りジェイソンがいうように、お金を使わないことや、別途普通に働くことが必要になる。

「投資法自体は本当に地味な作業。期間が長くなると、軌道に乗る。」

それで儲かったり損することもあるが、基本的にはそういうものだろうという気はする。NISAのような仕組みが拡充されそうではあるが、事態は特に変わらない。

2022年8月13日土曜日

1億円からの運用選択肢

以前、「5000万と1億と5億を貯めることの違い」について書いた。この際のアイデアは、働き続ける必要があるのか、それとももはや有閑階級となるのかという区分を持ち込むことで、おおよその違いを説明できるであろうということであった。

関連しそうな面白い記事を見つけた。資産の増やし方と題して、1億から3億、3億から10億、10億から30億、30億から100億が区分されて説明されている。これらはそれぞれクラス1、3、10、30として分けられる。

ーーー
ーーー

最後のクラス4となる30億から100億となると、会社の運営と売却が有効になるとされる。今回は、とりあえずここまで考える必要はないであろう。逆にまずはクラス1では、それまでからのマインドシフトが必要になる。この点は、前述の5000万円の頃の意識変化と同様であるように見える。資産の維持、運用へとシフトし、そのためには端的にはうまい投資が必要になる。クラス1(やそれ以下)が目指すべきは、収入を増やす(つまり働く)、支出を減らす、資産運用で増やすの3つであるという。

有閑階級を目指すという点では、クラス3やクラス10を参考にする必要があるだろう。実際、クラス3となると、それまでの資産運用とはもう少し異なる選択肢が必要になる。この辺りは他のサイトの説明でもしばしば登場するが、流動性の低い株式への投資、そしてレバレッジを使った投資である。特に前者は、一般的には投資はできないであろうから、ここにおいてプライベートバンクやプライベートエクイティの利用が必要となる。後者は信用取引のようなものも想定できるのかもしれない。この傾向はクラス10でも同じようである。

クラス3や10で新しい戦略が必要になるのは、平均的な市場の利回り(3-5%ぐらいだろうか)では3億を10億、10億を30億にすることは難しいからである。一方で、クラス1以前のように少額をギャンブルにかけるという感覚で投資するわけにもいかないため、別の仕組みに頼る必要が出てくる。

ネット投資家の人々は、感覚としてはレバレッジを使った投資に精通しているように見える。そうではない場合は、PEなどを上手く使うのだろうか。レバレッジの利用は、引き続きギャンブル的な性格を持つようにも見える(倍率次第ではあろう)。一方のPEは魅力だが、アプローチの仕方がよくわからないという課題はある。クラス1やその下から上がっていくという場合にはなおさらである。


2022年5月21日土曜日

アメリカ株式市場の下落とVTI

 先日厚切りジェイソンの話をしたが、ちょっと炎上気味という記事を見つけた。このところVTIの下落が著しいからだと言う。確かに、今年に入り、コロナはもとよりロシアの問題が大きくなり、そこにインフレ脱却が重なることで相場が難しくなっている。記事によれば、VTIは直近1ヶ月で12.6%も下げたという。ボラティリティは大きそうである。


ーー
厚切りジェイソン、ツイート全消し 米国株下落で非難殺到か?
ーー

 とはいえ一方で、コメント欄を見ればわかるように、VTIのようなETFは、もともと短期ではなく長期で利用することに意義がある。10%下げようが20%下げようが、積み立てていくと言うアイデア以外に選択肢はない。それが嫌ならば、もっと短期の商材を購入した方が良いだろう。

 このあたりは、実はラップ口座や投資信託の方に利(意図せざる)があるのかもしれない。こちらは、始めてしまうとやめたり売ったりすることが存外難しいからである。株式のように当日売買できてしまうETFは、一方で下がった時に売りたくなってしまう。これに対して、ラップ口座などは、たぶん解約に手続きやタイムラグがあるため、とりあえず放っておこうかということになる。場合によっては忘れてしまうこともできる。うまく運用できているのならば、中期、長期で取り戻すことができるだろう。

 VTIの目下の問題は、下がっているということではなく、下がっているにもかかわらず買いにくいということにあるように思われる。円安が進みすぎているからである。少し前の100-110円のレンジからみれば、今は1.2倍以上になっている。この相場が常態化していくのか、さらには円安が進むのかはよくわからない。過去30年から50年のレンジ幅でみても、最大は140円ぐらいであり、現状はかなり上限に達しているからである。

 VTIが10%下がっても、円が10%上がっているのならば状況はあまりかわらない。ただし、配当金は円に変わって戻ってくるため(たぶん)、既に持っているVTIについては、円安の方が有利である。VTIの利回りは、ウェブで検索すると直近だと1.26%らしい。ちょっと低すぎる気がするが?、円安になれば、この実質的な円換算の配当は増えることになる。

 何にせよ長期で。そしてここでいう長期とは、別に10年、20年を想定するわけではなく、せいぜい数年といった単位でも構わないと思う。

2022年5月3日火曜日

ラップ口座とかAIとか、メリットあるのかな

最近になってまた数が増えているものに、ラップ口座がある。なぜこれが繰り返しやってくるのかよくわからないが、今度は「ゴールベース」なるアイデアと結びついているという。

--
必要なのは“投資”ではなく資産運用-見直されるラップ口座の今
--

ラップ口座とは、ようするにお任せ口座であり、放っておけばあとは委託先がうまくやってくれる仕組みである。このさい、上の記事によれば、以前は「販売手数料が収益源」だったため、とにかく次々に買ってみたらどうですかという運用方法になっていたという(本当かどうかは知らない)。これに対して、ゴールベースなるアイデアのもとでは、「預り資産残高の2%など、売買頻度によらず費用が発生する仕組み」になる(らしい)。

預かり資産の数%をとるのは一般的であったように思うが、何か変わったのかもしれない。というか、2%は高い気がする。勝負しているアクティブファンドという感じである。実際にはもっと低い%であろうが、それにしても、ラップ口座を開いてはダメなのではという感じしかない。

投資信託にせよETFにせよ、預かり資産の数%がとられる。その中でのリバランス運用が行われるからである。しかし、今は1%以下が普通であろうし、グローバルなETFについて言えば、0.1%を割り込む場合すらある。そのぐらいの手数料でいいはずであり、それ以上とるというのであれば、一体どこまで勝負しようとしているのかということになる。

ところが、上記の記事では、新しいラップ口座の成否は「顧客側が「もうかる商品」を望むことから脱却できるかどうかにかかっている」とされている。もうからない商品で、運用の手数料を2%(あるいは半分の1%でもいいが)もとるというのは、一体どういう狙いなのだろうか。そもそも、ラップ口座を選択する人々は、もうかる商品を望んではないだろう。むしろ、手軽に簡単に安全に、その範囲で利益を得たい人々なのではないだろうか。儲けたい人は直接株を買ったり、アクティブファンドにのるはずである。

改めて確認してみると、話は変わって、これとは別にロボアドバイザーの記事を見つけた。こちらも最近よくみるもので、AIといろいろ連携するとされる。ラップ口座とAIが合体しているようなものもある(だから検索できたのだが)。ただ実際のところ、ここでいうAIというものがどういうものなのかはよくわからないことが多い。機械学習ですらなかったりもする。

こちらも運用の手数料をとり、1%を超えるものもあるようだ。高い感じしかしないが、上の記事だとマネックスと投信工房(松井証券か)は1%を大きく割っていて安めである。何をしてくれるのかちょっと気になる。無料診断をしてみたが、投信をいろいろ買ってポートフォリオを組んでくれるというようである。標準で、年5%ぐらいの利回りを想定しているように見える。組み合わせる数が多く、なんとなくポートフォリオになっているようにみえるが、少し数を減らせば自分でもできる。

というか、ETF系は、最初からポートフォリオになっているわけで、それをたくさん買う必要もない気がする。リスクもリターンもだいたいみえており、年5%自体も可能である。厚切りジェイソンに従えば、「VTIへの投資は、どのタイミングでスタートしても、20年の長期スパンで見れば年利6.4%を下回ったことがない」らしい。たぶん、そのとおりである。ラップ口座やAIに任せるよりは、彼を信じた方がいいような気がする。

ー
厚切りジェイソン流「お金持ちになる方法」を伝授!基本は「長期・分散・積立」で、もっとも経済成長している米国インデックスに毎月積立するのがおすすめ
ー

2022年2月15日火曜日

今は「市場全体を買う式」は至難か?

コロナ禍を経たテーパリングが始まりつつある今日この頃。株価の乱高下に合わせて、興味深い記事を見つけたので少しメモしておく。

ーーー
心では一刻も早くインフレの息の根を止める必要があると思っているけれど市場が荒れているので強いメッセージを出せないFRB
SBI証券、2022/1/28
ーーー

アメリカではインフレが実際に進んでいるとして、FOMCが利上げとバランスシートの圧縮を始めようとしているというわけである。この対策を警戒する市場は、このところ株価の乱高下が続いており、直近はかなりの下落傾向にある。そして逆に、この市場の乱高下をみるにつけ、FOMCやFRBは強い対応を打ち出せなくなってしまっている。板挟みになっている状態であろうか。

現実としてそのような認識は多くの記事で見かけるとして、興味深いのは最後のオチである。

「いまは「市場全体を買う!」式の、怠惰なアプローチで投資しても儲けることは至難の業です。」

いうまでもなく、「市場全体を買う!」式とは、インデックス投資を示しているだろう。今は、インデックス投資ではダメだという。なぜならば、上記に見たような状況だからである。

本来、インデックス投資は、市場環境が不確実で株価はランダムウォークであるがゆえに、結果的に有効になるのであった。インデックス投資が有効にならない条件は、したがってその逆、未来が見える時である。利上げが進むことが確実であるとわかっているため、これに対して手を打っても良いということになる。

現状を不確実で不安定と見るのか、それとも確実で安定的と見るのか。正直最初の説明としては前者のように見えるが、この記事では、後者で見ていたということになる。それは多分にポジショントークともいえるが、見えている人には見えているというかもしれない。もっと言えば、この場合、去年の状況やさらにコロナ前の状況では、どのようにいうことが出来たのだろう。



2022年1月31日月曜日

トマス・J・スタンリー&ウィリアム・D・ダンゴ「となりの億万長者 新版」1996、早川書房。


トマス・J・スタンリー&ウィリアム・D・ダンゴ「となりの億万長者 新版」1996、早川書房。

随分と前の本だが、今読んでも面白い。2013年に新版として日本語訳になっている。当時のアメリカ人の億万長者たちを調査した結果をまとめた書籍である。

タイトルが示唆するように、私たちの周りにも億万長者(100万ドル以上、大体1億円以上の純資産を持つ人々)はいるものだということを主張している。当時のアメリカで全体のわずか3.5%だが、逆に言えば、100世帯に3世帯は億万長者である。

日本でも、野村総研のよく知られた調査で言えば、1億円以上の純資産で富裕層とされ、2019年のデータでは超富裕層も含め約132.7万世帯ある。5000万世帯を全体と考えれば、2.6%程度である。アメリカよりも低いが、それでも100世帯に2世帯以上は億万長者となる。

ようするに、億万長者は周りにいそうだが、私たちは気付いていない。なぜか。それが億万長者の特徴であり、億万長者になるための条件でもある。多くの億万長者は、「普通の人々」なのである。

私たちがイメージする億万長者は、いい家に住み、いい車を待ち、いい服を着て、いい食べ物を食べている。だが、こういう人々は、総じて所得は多いものの、貯蓄は少なく、本書が言う億万長者ではない。理由は簡単である。支出が多すぎて、貯蓄に回らないのである。一方で、億万長者は、普通の家に住み、普通の車に乗り、普通の服を着ている。そして、所得が少しある。彼らは従って「普通の人々」であり、他の人と区別がつかないが、実は億万長者になるというわけである。

ここから、億万長者に私たちもなれることが示される。浪費しないこと。倹約、倹約、倹約し、貯蓄すること。あるいは貯蓄を賢く投資運用すること。それだけである。

興味深いことに、所得が多い人々は、高学歴で、社会的ステータスが高い人々が多い。彼らは、周囲の生活に合わせ、支出がどうしても多くなる。結果として、貯蓄は増えず、億万長者にはなりにくい。その時に良い生活ができれば十分だというかもしれないが、彼らは競合的消費にハマっているとも言えるし、税制などの環境的要因、さらには子供も浪費癖が付きやすく将来の不安を抱えやすいとされる。倹約し、億万長者を目指した方が結果的に幸せになるのではないかというわけである。

日本でも、この本を参考に「となりの億り人」が書かれている。こちらもとても興味深い。基本的な主張は同じで、より投資運用にフォーカスされている。日本でも、倹約し、貯蓄し、運用することが、億万長者への道ということだろう。




2022年1月19日水曜日

5000万と1億と5億を貯めることの違い

1億円という言葉はとてもキリがよく、目標になりやすい。1億円貯めよう、であるとか、1億円あれば、というわけである。同時に実際には、1億円が万能というわけではないので、1億円あっても実は、といった話にもなりやすい。この「1億円」は、実質的には、いったいどういう意味を持つのだろうか。

ーーーー

1億円を貯め始める、一番いい方法
(貯まる方法ではないのかもしれない)

ーーーー

例えば、お金持ちの基準といえば、野村総研による図表がよく使われている。この分類でいえば、真にお金持ちと言えるのは純金融資産が5億円以上であり、1億から5億は同じ分類で富裕層に位置づけられる。ちなみにその下は準富裕層であり、5000万から1億となっている。この基準から言えば、5000万、1億、それから5億でお金持ちの程度が分かれるといえるのかもしれない。1億円の意味を知る上では、5000万円と5億円についても検討した方が良さそうである。だがそれぞれの区分について、なぜその金額で分類されるのかについてはあまり示されていない。

野村総合研究所。

5000万円が一つの区分となるのは、確かのようである。「お金持ちの教科書」によれば、5000万円ぐらい貯まってくると、人の意識が変わってくるとされる。すなわち、それまではお金を増やすことに意識が向いているが、5000万円ぐらい貯まると、今度はそのお金を減らさないことに意識が向くようになるという。配当生活への志向が芽生え始めるのである。「お金持ちの教科書」では、この意識の変化をお金持ちへの変化として捉えている。準富裕層がアッパーマスと区別される5000万円には、そんな意味があるということになる。


では5000万が1億になったとき、何か変わることはあるのだろうか。5000万円の減らさないことへの意識の変化とは、先に述べたように、配当生活への意識が増すということである。ベンチャーに投資して0か10倍かではなく、リスクを減らし、この資産を元にずっと3%程度の配当を得るためにはどうしたらいいのかということに意識が向かう。

この意識は、おそらく1億になっても変わらない。というよりも、5000万円で現実的に配当生活というわけにはいかないであろうから、1億、2億と原資を積み増していくことになるだろう。このとき、1億あっても、2億あっても、多分配当生活としては安定ではない。最低限の生活は可能かもしれないが、おそらくこの時に想定されているのは、副収入である。5000万円があり、金利3%だとすれば、年間150万円である。1億円ならば、300万円になる。通常の収入がある程度あっても、結構なお小遣いとなるだろう。この配当を安全に積み増していくという過程にある人々が、1−5億円の富裕層であるようにみえる。

つまり1億円とは、5000万円ぐらいから始まる配当生活への意識の成長期である。5000万のころに初めて芽生えるその意識は、1億円を越える頃から本格的になっていく。貯めていけば、完全なる配当生活が見込めるかもしれないからである。だが一方で、依然として完全なる配当生活は容易ではない。別途本業を持ちながら努力することになるだろう。この時期が1億円の頃に始まる。

とすれば、次に興味があるのは、5億の壁である。1−5億円と、5億円以上をわけるものは何かあるのだろうか。もちろん、5億以上という場合には、下限というよりは、そこから果てしなく上に上がっていくであろうすごいお金持ちが考慮されている。しかしながらここで考えてみたいのは、そういうすごいお金持ちも含めて、分岐点としての5億にどのような意味があるのかということである。先程の配当という点からみれば、5億円で3%金利ならば、1500万円となる。これは通常所得としてみても高額だといえるだろう。このぐらいになれば、配当生活とはっきりといえそうだ。4−5億円程度になれば、実際の配当生活が可能になるといえる。

富裕の意味が有閑階級のことであるとすれば、それはやはり、5億円以上ということになるのだろう。1億や2億はその通過点であり、働かねばならない(無理に働く必要はないにしても)という点においては、一般の労働者と変わらない。配当利回りがもっとあるということならば別だが(例えば利回り5%で安定しているのならば、3億あれば十分ということかもしれない)、それでも5000万円からはある程度の上積みは必要だろう。この期間が、1−5億円で区分された富裕層である。

5000万円や1億円は、したがって多くの人にとって目指すことができる目標であるともいえる。書籍やネット上でも、この金額は目標と往々にして目標となりうる。それは労働によって実現可能だからであり、その後も労働を続ける必要があるという意味において、地続きである。一方で、5億円(実際にはもう少し低いのかもしれないが)のハードルは高い。労働によって実現できるようにはあまりみえず、したがって、乗り越えようとすれば何かしら別の形の投資が必要である。いわゆる億り人系の記事をみていると、この手の傾向が強い。それは1−5億に収まる労働を伴う富裕層ではなく、最初から不労所得を狙うような富裕層である。

1億円を目指す。そして5000万円を超えた頃から、5億円以上の超富裕層が実現しているであろう配当生活が見えてくる。だがその実現は容易ではなく、あくまで副業の位置づけが続く。そのまま副業のままであれば、1億円の時代が続くということになるのであろう。逆に、本当に5億円を超えてくれば、次の段階が見えてくるということになる。

2021年12月13日月曜日

不動産投資とREITならREIT

金融商品の一つにREITがある。不動産投資を商品化して、通常の株と同じ感覚で売買できるようにするものである。詳細は、例えばJAPAN-REITに詳しく、数えられる程度の投資法人が存在していることがわかる。多くの株が数百円から数千円程度であることに対して、REITは一株数十万と高いようにも感じるが、多くの株は100株単位であるのに対し、REITは1株から買えるので、実質的には同じぐらいの価格である。

ーーーーーー

JAPAN-REIT

ーーーーーー

不動産投資というと、一般的には、アパートの一室を買って賃貸に出すような、いわゆるアパート経営やマンション経営が想定される。中には不動産王のような人もいて、不労所得で稼ぐ方法といった本もたくさん出回っている。個別には取り上げないが、Amazonで検索すれば以下の通り。。。バブルの頃ならば、転売で利益を得るようなものが不動産投資だったかもしれないが、現状では利回りを考えるのが普通であろう。

ーーーーーー

amazonで不動産投資検索

ーーーーーー

そうなると、不動産投資で直接アパートを買うか(そして賃貸で稼ぐか)、それとも、株式市場でREITを買うか(そして配当をもらうか)という選択肢が生まれるように思われる。利回りだけでみれば、多分どちらも同じ程度で、3-6%程度ある。ただし、不動産投資の方は、いろいろと手を入れたり損益通算などの余地があるから、うまくやれば10-15%といった可能性もある。逆に、REITは株と同じなので流動性は高く、さらに、大規模ビルへの分散投資となるため安定性はかなり高い。借り手が見つからずに賃貸収入が入らないような問題は、アパート経営の方が生じやすいだろう。

いろいろ自分でやれると思う人は不動産投資で直接、そんなにうまくいかないだろうと思う人は、REITを買っておくのが良いだろう。当然、REITは株と同じように毎日売買できるので、購入は容易である。一方でアパートを買うという場合には、結構な手間が必要になる。このあたりも手間をかけてもいい人は不動産投資、面倒な人はREITでお手軽にということになる。

もう一点重要な点として、不動産投資の場合はローンが組めるという点は考慮する必要がある。つまり、不動産投資の場合は、手元にお金がなくても、ローンでアパート一室を購入し、その家賃収入をローン返済に当てていくことができる。ローンを組んでREITを買う人はいないとは言えないが、あまり現実的ではない。

そう考えると、不動産投資は、手元資金がないが投資をしたい、よりリスクを取りたい人向けだということがわかる。逆に、REITは、手元資本があって、リスクをとりたくない人向けである。期待されるリターンは基本的には変わらない。

ところで、REITの適正価格はどのように考えたら良いだろうか。コロナ禍においてREITは上昇傾向にあり、逆に利回りは下がっている。利回りが大事という点では、買い時とは言えないようにも見える。同時に、株式でいうところのPBRは、REITではNAVと呼ばれる。資産となるビルの総額に対する現在の株の総額の割合である。1であれば、資産と株の価格が同じということになり、ちょうど適正ということであろう。1を切れば割安、1を超えれば割高とされる。2021年時点では、高いものは1.7近くになっている。

買い時ではないようにも見えるが、NAVは高い方が良いという見方もあるようだ。理由は、増資をしやすいということによる。REITは、通常の株とは異なり、利益はほぼすべて配当に回す必要がある。このため、新たな利益を増やすためには、ビルを買うための資金を新たに募るしかない。この時、株価が高ければ、少ない新規株式発行で十分な資金を得ることができ、水増し感が減る。

昔はこの議論はあまりなかったように感じるので、だんだんと意識されるようになってきているということかもしれない。いずれにせよ、アパートを買おうと考えたときには(多分こちらの方が、誰でも思いつきやすい)、REITについても考えておくのが良い。