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2021年8月5日木曜日

複利を考えるメリットは現状はあまりない

 しばしば投資の議論で登場するキーワードに、「複利」がある。配当も投資に回してしまうことで、次の配当を大きくしていくことができるというわけである。ちょうど記事が出ていたので、思い出した(この記事そのものは、ドイツでは年利12%が普通ということで?複利の話はほとんどない。ウォルマートの株を買っていれば大儲けできたのが複利の力だというが、それは複利の力ではなく、たんにウォルマートの力である)。

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確かに、複利は時間をかければ大きな力となっていく。こちらのサイトで計算できるようなので、簡単に計算してみよう。

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知るぽると
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毎月1万円投資、20年、単利と複利(利息は各税金が引かれた後再投資)
金利10%の場合、4,320,706 円 5,710,618 円

20年間で140万円近い差がでることがわかる。しかもこの分析は税金がどちらも引かれているが、再投資がファンド内で行われる場合には税金がかからないこともある。そうなればさらに上乗せが大きくなることが期待される。先のドイツでは12%だというから、複利の効果はもっと大きい。

だが重要なポイントは、金利がいくらかにある。同じ条件で、金利を半分の5%にするとどうなるか。

毎月1万円投資、20年、単利と複利(利息は各税金が引かれた後再投資)
金利5%の場合、3,360,321 円 3,644,904 円

30万弱にまで差が縮まった。複利の方が大きくなることは当然なのだが、20年間で30万円を手にするために、ずっと再投資し続ける価値はどのくらいあるだろうか。

再投資するということは、その分リスクを負うということである。単利の場合、利息は元金に組み込まれず、都度自由に使える形になる。20年間で240万円がもともとの掛け金となるから、単利であれば90万円程度は、投資せずに他に使えるお金となっていたことになる。使い道がないのならば、もちろん複利がよい。だがそうでないのならば、何がなんでも我慢して複利にすべきであるというほどのことはないように思われる。

繰り返していえば、複利のポイントは、金利がいくらかにある。それからより正確には、あと重要な点として、金額と期間がどの程度かが重要である。とはいえ一般的に、金額が大きい場合には単利か複利かなど気にしない富裕層となろう。期間は孫の時代までを考えるのでなければ、20−30年といったところだろう。このぐらいの条件で、現状の金利を考えるのならば(最初のドイツの金利とやらでないのならば)、複利複利言うほどのメリットはないのである。都度使ってしまった方がいくらか幸せである。

最後にもっとありそうな金利として、3%だったらどうだろう。ETFならばこれでもかなりいい方である。

毎月1万円投資、20年、単利と複利(利息は各税金が引かれた後再投資)
金利3%の場合、2,976,231 円 3,071,158 円

差は10万円弱となった。個人的には、途中で50万円を手元に残せる単利の方が魅力的であるようにさえ見える。複利を推す声は、とにかく投資して欲しい投資会社の戦略であるようにもみえる。