ラベル

2018年4月6日金曜日

ドルコスト平均法は有利か?配当がある場合。

ドルコスト平均法と一括購入
 以前から少し考えるところがあったドルコスト平均法の有用性。特に最近は外国株式などでも定期買付ができるようになっているため、積立という形でドルコスト平均法が利用しやすくなっている。対抗馬として、最初に一括して購入してしまうよりも有利だと言えるのだろうか。

楽天証券の記事によれば、思っているほど有利というわけではないようである。少なくとも言えることは、投資対象が下落局面であれば、ドルコスト平均法の方が有利であるが、逆に投資対象が上昇局面であれば、最初に一括購入した方が有利となる。人は下落局面を恐れる傾向が強いことを考えれば、リスクに備えるという形で、ドルコスト平均法を採用する、という選択肢があることはわかる。


ドルコスト平均法について整理する


配当がない場合
 とはいえ、もう少し考慮したいことがあると思っていた。配当である。先の記事では、配当については考慮していない。しかしながら、現実には、投資額に対して配当が得られるのであるから、最初に一括した場合には、そうでない場合よりも、配当が多く得られるものと想定される。

今、1口100万円、年利5%の株式を考えてみよう。面倒なので単利で計算する。この株式を10口1000万円で10年持つとすれば、1年の配当が1000万円x5%=50万円であるから、50万円x10年で500万円の配当が得られる。

これに対して、この株を毎年1口100万円ずつ購入し、10年後に1000万円になるという場合を考えよう。1年目は100万円に対して5万円、2年目は200万となって配当が10万円となる。10年では、5+10+15+…+50=275万円の配当となる。

株式の価格変動がない場合、一括では500万円、ドルコスト平均法では275万円の配当となり、一括の方が利益が大きいことになる。当然、年利5%を一定だとすれば、株式の上昇局面でも一括の方が有利であることは変わらない。

では、もともとドルコスト平均法が有利であった株式の下落局面はどうなるだろうか。例えば、10年後に株式の価格が半分ぐらいになっている場合を想定しよう。つまり、1口100万円であった株式が、徐々に下がり10年後に55万円になっているという場合である。

まず、最初に一括して購入していた場合、10口1000万円が550万円となり、450万円の損となる。これに対して、ドルコスト平均法の場合、1年目は100万円の購入だが、2年目は95万と5万円ずつ下げていくと、10年目に55万円での購入といった形で金額を計算できる。10口で775万円の購入となる。225万円の損であり、最初に一括するよりも損は小さい。

配当を組み込む
 ここでの問題は配当である。もし、配当が初年の5万円を維持しているのならば(したがって、10年後には年利が上がっている)、一括では500万、ドルコスト平均法では275万であった。差し引きすると、一括は50万円の利益、ドルコスト平均法でも50万円の利益となる。以外にも、利益は同額になる。

年利を一定にする場合、すなわち、株価に対して毎年5%の配当が支払われるという場合、一括では387.5万円、ドルコスト平均法では233.75万円の配当が予想される。この場合には、一括では450-387.5=62.5万円の損であり、ドルコスト平均法では225-233.75であるから7.25万円の得になる。

下落局面において、配当も下がっていくと考えれば、一括よりもドルコスト平均法の方が有利であるようにみえる。その一方で、配当が一定であると想定すると、下落局面のドルコスト平均法の有利は薄れるようにみえる。配当の利率そのものも下落局面では下がると考えれば、ドルコスト平均法の有利はもう少し維持されるだろう。

株価が落ちても配当金額そのものが変わらないというのは特殊な株式のようにもみえるが、株価が落ちて利回りがよくなるという株式はむしろ普通に存在している。こうした株式の場合には、今予算があるというのならば、ドルコスト平均法よりも、一括で買ってしまった方が、下落局面を想定した上でもいいと言えるかもしれない。