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2022年5月21日土曜日

アメリカ株式市場の下落とVTI

 先日厚切りジェイソンの話をしたが、ちょっと炎上気味という記事を見つけた。このところVTIの下落が著しいからだと言う。確かに、今年に入り、コロナはもとよりロシアの問題が大きくなり、そこにインフレ脱却が重なることで相場が難しくなっている。記事によれば、VTIは直近1ヶ月で12.6%も下げたという。ボラティリティは大きそうである。


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厚切りジェイソン、ツイート全消し 米国株下落で非難殺到か?
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 とはいえ一方で、コメント欄を見ればわかるように、VTIのようなETFは、もともと短期ではなく長期で利用することに意義がある。10%下げようが20%下げようが、積み立てていくと言うアイデア以外に選択肢はない。それが嫌ならば、もっと短期の商材を購入した方が良いだろう。

 このあたりは、実はラップ口座や投資信託の方に利(意図せざる)があるのかもしれない。こちらは、始めてしまうとやめたり売ったりすることが存外難しいからである。株式のように当日売買できてしまうETFは、一方で下がった時に売りたくなってしまう。これに対して、ラップ口座などは、たぶん解約に手続きやタイムラグがあるため、とりあえず放っておこうかということになる。場合によっては忘れてしまうこともできる。うまく運用できているのならば、中期、長期で取り戻すことができるだろう。

 VTIの目下の問題は、下がっているということではなく、下がっているにもかかわらず買いにくいということにあるように思われる。円安が進みすぎているからである。少し前の100-110円のレンジからみれば、今は1.2倍以上になっている。この相場が常態化していくのか、さらには円安が進むのかはよくわからない。過去30年から50年のレンジ幅でみても、最大は140円ぐらいであり、現状はかなり上限に達しているからである。

 VTIが10%下がっても、円が10%上がっているのならば状況はあまりかわらない。ただし、配当金は円に変わって戻ってくるため(たぶん)、既に持っているVTIについては、円安の方が有利である。VTIの利回りは、ウェブで検索すると直近だと1.26%らしい。ちょっと低すぎる気がするが?、円安になれば、この実質的な円換算の配当は増えることになる。

 何にせよ長期で。そしてここでいう長期とは、別に10年、20年を想定するわけではなく、せいぜい数年といった単位でも構わないと思う。

2022年5月3日火曜日

ラップ口座とかAIとか、メリットあるのかな

最近になってまた数が増えているものに、ラップ口座がある。なぜこれが繰り返しやってくるのかよくわからないが、今度は「ゴールベース」なるアイデアと結びついているという。

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必要なのは“投資”ではなく資産運用-見直されるラップ口座の今
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ラップ口座とは、ようするにお任せ口座であり、放っておけばあとは委託先がうまくやってくれる仕組みである。このさい、上の記事によれば、以前は「販売手数料が収益源」だったため、とにかく次々に買ってみたらどうですかという運用方法になっていたという(本当かどうかは知らない)。これに対して、ゴールベースなるアイデアのもとでは、「預り資産残高の2%など、売買頻度によらず費用が発生する仕組み」になる(らしい)。

預かり資産の数%をとるのは一般的であったように思うが、何か変わったのかもしれない。というか、2%は高い気がする。勝負しているアクティブファンドという感じである。実際にはもっと低い%であろうが、それにしても、ラップ口座を開いてはダメなのではという感じしかない。

投資信託にせよETFにせよ、預かり資産の数%がとられる。その中でのリバランス運用が行われるからである。しかし、今は1%以下が普通であろうし、グローバルなETFについて言えば、0.1%を割り込む場合すらある。そのぐらいの手数料でいいはずであり、それ以上とるというのであれば、一体どこまで勝負しようとしているのかということになる。

ところが、上記の記事では、新しいラップ口座の成否は「顧客側が「もうかる商品」を望むことから脱却できるかどうかにかかっている」とされている。もうからない商品で、運用の手数料を2%(あるいは半分の1%でもいいが)もとるというのは、一体どういう狙いなのだろうか。そもそも、ラップ口座を選択する人々は、もうかる商品を望んではないだろう。むしろ、手軽に簡単に安全に、その範囲で利益を得たい人々なのではないだろうか。儲けたい人は直接株を買ったり、アクティブファンドにのるはずである。

改めて確認してみると、話は変わって、これとは別にロボアドバイザーの記事を見つけた。こちらも最近よくみるもので、AIといろいろ連携するとされる。ラップ口座とAIが合体しているようなものもある(だから検索できたのだが)。ただ実際のところ、ここでいうAIというものがどういうものなのかはよくわからないことが多い。機械学習ですらなかったりもする。

こちらも運用の手数料をとり、1%を超えるものもあるようだ。高い感じしかしないが、上の記事だとマネックスと投信工房(松井証券か)は1%を大きく割っていて安めである。何をしてくれるのかちょっと気になる。無料診断をしてみたが、投信をいろいろ買ってポートフォリオを組んでくれるというようである。標準で、年5%ぐらいの利回りを想定しているように見える。組み合わせる数が多く、なんとなくポートフォリオになっているようにみえるが、少し数を減らせば自分でもできる。

というか、ETF系は、最初からポートフォリオになっているわけで、それをたくさん買う必要もない気がする。リスクもリターンもだいたいみえており、年5%自体も可能である。厚切りジェイソンに従えば、「VTIへの投資は、どのタイミングでスタートしても、20年の長期スパンで見れば年利6.4%を下回ったことがない」らしい。たぶん、そのとおりである。ラップ口座やAIに任せるよりは、彼を信じた方がいいような気がする。

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