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2022年8月24日水曜日

厚切りジェイソンに学ぶ

特に気にしているわけではないが、最近、時々記事を見かける厚切りジェイソンである。基本的に違和感はない。少し確認しておこう。

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僕の生き方、耐えられない人も多いと思いますよ──コツコツ投資を15年、厚切りジェイソンの“ぜいたく”な暮らし

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現在36歳だという。GEに就職後15年かけてコツコツと投資を続け、いまでは資産運用だけで家族全員が一生暮らせる資産を築きあげている。30歳そここでFIREを成し遂げたとあるが、GEの給料の投資だけでそこまでの資産には至らないかもしれない。詳細はわからないが、ITベンチャー企業の取締役と芸人としての利益もある。

「僕のやっていることは、とっても簡単なこと。支出を減らして、全米インデックスファンドを買うだけ。」

現在の投資の基本はこれであろう。為替の問題はあるが、とりあえずの選択肢はこれしかない。さらにリスクを取りたくないのならば、全世界インデックスファンドを買えばばよい。利回りは下がるが、選択肢はどちらかである。例えば全米インデックスファンドとしてVTIを買っていれば、2001年からみて2020年までに取引値自体がおよそ3倍になっているとされる(56ドル->159ドル)。分配金の再投資を含めれば5倍にもなる(たぱぞうの米国株投資)。厚切りジェイソンの投資も5倍になったとすれば、たしかにそれなりの資産になっているだろう。

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米国市場にせよ世界市場にせよ、これほど成長することはしばらくはないのかもしれない。だがいずれもグラフを確認すれば、リーマンショック前からみてもかなり線形の右上がりであるようにもみえる。その意味では、引き続きどちらかに(あるいは両方に)投資するという選択肢は基本となる。

重要な点として、投資したままではその資金は生活に使うことはできない。その点では、厚切りジェイソンがいう「僕の生き方、耐えられない人も多いと思いますよ。全然苦だと感じていないんですけど。僕はお金を使わない」ことには留意する必要がある。投資している限り資産は増えるが、基本的にそれは消費に回せるわけではない。

もちろん、切り崩すことや、配当については消費に回すこともできるだろう。これらは有閑階級の基本的なやり方だと思われる。しかし一方で、例えば仮に1億円あったとして、現状においてVTIの利回りは2%を割り1%前半である。彼が父親から聞いたという宝くじで当たった1億円を投資すれば年間600万円の利益をもらうことができる(利回り6%)、状況ではなくなっている。現状、1億あっても、税金を引かれればいよいよ年間で100万円を割ってしまいかねない。

2つの点を再確認することができる。一つには取引値の上昇はキャピタルゲインの源泉であり、資産の増加という点で重要である。しかし、そのままでは消費には貢献しない。一方で配当はインカムゲインとしてその都度の消費に使うこともでき、実生活において重要である。しかし、現状では利回りは低下傾向にあり、事態はそう簡単にはいかない。厚切りジェイソンがいうように、お金を使わないことや、別途普通に働くことが必要になる。

「投資法自体は本当に地味な作業。期間が長くなると、軌道に乗る。」

それで儲かったり損することもあるが、基本的にはそういうものだろうという気はする。NISAのような仕組みが拡充されそうではあるが、事態は特に変わらない。