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2012年6月24日日曜日

われらゲームの世代3

期末試験と水滸伝

自分史を語る上では、やはりいくつかのゲームソフトが欠かせない。その内容が面白かったかどうかというよりは、僕の記憶は常にゲームとともにある。ゲームを通じて物語るのも悪くない。とりあえず一文を書こうと思って何気なく書いたのがこの水滸伝であった。このゲームは本当に印象深い。いつだって思い出せる。 

今ではコーエーと社名を換えてしまったが、水滸伝はその光栄によって1990年に発売された(Wikiでみてみると、そのぐらいのころだったようだ)。歴史シミュレーションゲームの一タイプである。背景となるストーリーは文字通り水滸伝であり、僕はこのまえに、既に水滸伝を読んでいたように記憶しているが、ゲームとあわせて読むことになったのかもしれない。

僕が当時読んだ水滸伝は、吉川英治の『新・水滸伝』だった。それは多分小学校か中学校の朝の読書タイムに繰り返し読んだから、中身を良く覚えている。さらに、当時はよくわかっていなかったけれど、吉川英治の『新・水滸伝』は彼の死により未完になっている。最後に滅びゆく梁山泊は描かれず、108星が全て集い、梁山泊が完成したところで話が終わっているという点がとても印象的だった。

水滸伝という物語は、宋の徽宗皇帝時代を背景にして、北方から元(金)が侵略してくるまでの期間を描いている。中心となるのは、滅びゆく国家の内患外憂であるとともに、そうした国家に対抗する逆賊の集まり、梁山泊の活躍である。梁山泊という言葉自体、既に水滸伝を飛び出して、日常用語にもなっている。

何人か好きな人物がいるのだが、一番かっこいいと思っていたのは小李広と呼ばれた花栄である。花栄は弓の名手であり、漢の時代の名将李広の再来だと言われている。僕が高校時代に弓道部にはいったのは、花栄に憧れたからである。だいたい意思決定というものはそういうものだ。

さて、ゲームの方はというと、発売日がちょうど中学1年生の1学期期末試験の初日だった。当時はネットもないから、ゲーム雑誌を買って心待ちにしていたわけだが、残念ながら期末試験は2日間もある。初日にゲームを買ってしまうことはとても危険だった。と同時に、試験中は部活もなく、午後の早い時間にテストが終わる。初日も、2時か3時には帰宅していたと思う。この余った時間、テスト勉強をするべきか、それとも天が与えてくれたゲームの時間なのかは一考に値する問題だった。

当時の僕がどういう意思決定をしたのかは覚えていないけれど、結局初日にゲームを買いに行った。光栄のゲームソフトは値段が高い。当時はまだ、定価で売られていることが多かった。それでも少し値引きをはじめていた電気屋があり、まずは自転車でそこに向かった。名前は覚えていないし、今はもうその店はない。僕が大学生の頃に書店に変わったと記憶している。

  新・水滸伝(一) (吉川英治歴史時代文庫) 新・水滸伝(二) (吉川英治歴史時代文庫) 新・水滸伝(三) (吉川英治歴史時代文庫) 新・水滸伝(四) (吉川英治歴史時代文庫)