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2012年8月1日水曜日

われらゲームの世代30

ゲド戦記

ちょっと話がそれてしまったが、ゲームを軸に連想を続けることこそが今回のテーマであった。印象深い記憶を辿ろう。ゲド戦記だ。

ゲド戦記は、アーシュラ・ル=グウィンが書いた子供向けファンタジー小説であり、外伝を入れると全6冊からなる。魔法使いの世界を描き、後に大賢人となるゲドの一生を描いた小説である。そういえば、後に知ったが、ル・グウィンの小説の一部は村上春樹が翻訳していたりする。猫の話だったと思うが、ずいぶんと影響力のある人だったのだろう。  

wikiでみてみると、最初の影との戦いは原著が1968年、日本語訳は1976年とある。なんとまあ昔のことであろうか。僕が読んだのは小学生の頃だったと記憶しているから、当時は既に少なくとも第3部までは翻訳されていたことになる。どうやら第4部が出るまでにずいぶん時間がかかったようだ。第4部帰還は、1990年に原著、1993年に日本語訳だという。実際、僕の記憶にも第4部と第5部はほとんど印象にない。ゲド戦記の後日談という感じだ。

ゲド戦記でもっとも子供向けといえるのは、第1部の影との戦いである。ゲーム世代としては、魔法使いが熾烈な戦いを繰り広げてくれなければ面白くない。第2部は、正直外伝のようなきもする内容であり、ゲドは前面には出てこない。途中まではいっさい出てこないから、違う話かと思ってしまう。さらに第3部は、今思い返すとよくできた内容だが、当時はほとんど意味が分からなかった。ゲドは大賢人だが老人になってしまい、悟りを開いてしまっている。魔法は使わない。船は風に流されるまま。海賊に襲われて奴隷にされてしまったりする。何をしているのだと言いたくなる。

第4部や第5部になると、もはや魔法も何もない。竜もでてくるけれど、いったい何をしようとしているのかわからない。そこにはゲームの世界ではなく、深淵な小説の世界が広がっている。

ゲームと小説は、確かに違うところもある。ゲーム的な小説を書くことは出来るし、小説をゲームの世界に移植することも出来る。ノベルタイプのゲームも後にたくさん開発された(ずいぶんと安く作れたことだろう)。けれども、ゲド戦記の第一部をゲームにすることは出来るかもしれないが、第二部以降は難しいだろう。映画には出来るだろうけれど。

空飛び猫 (講談社文庫)こわれた腕環―ゲド戦記〈2〉 (岩波少年文庫)さいはての島へ―ゲド戦記〈3〉 (岩波少年文庫)