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2012年7月5日木曜日

われらゲームの世代12

バイナリエディタ

そんなこんなで、僕が中学生ぐらいの頃には、僕たちですら、パソコンに触れられるという時代になっていた。うちには、そのうちエプソンのPC-386Mが入った。88や98とほぼ互換性があり、ただそのためにはフロッピーディスクのプログラムを少々書き換える必要があった。あと、細かいところでは、88や98は自動でBASICが立ち上がったが、386Mは別途ドライブにBASICを挿入する必要があった。

エプソンというと、今ではパソコンメーカーというよりはプリンタメーカーの印象が強い。当時もそうだったのかもしれないが、僕の中ではエプソンはパソコンメーカーであり、エプソンダイレクトなどが直系という印象を持っている。

近くの電気屋さんでもパソコンは取り扱われていたし、大体デモプレイがされていて、どれもきれいなグラフィックだった。よく見に行った記憶がある。でも、そうした近くの電気屋さんではパソコンは買わなかった。隣町のなんだか雑然としたビルの一室、ダンボールのまま商品が並べられているようなお店で僕たちはパソコンを買った。後にそうしたお店は、例えば秋葉原のパソコン屋のようだったと思うようになったが、パソコン専業店が生まれていたのだった。

他の人たちがどこでパソコンを買っていたのかはわからない。いずれにせよ、ゲーム専用のMSXを持っているという友達もちらほらでてきており(最初は、それが88や98では動かないことを知らなかった)、そのうち、PC版の信長の野望を借りることができたのだった。のぶやぼや三国志は元々パソコンベースのゲームだったから、これはとてもうれしかった。何より、当時はファミコンは8bitで処理されており、国のマップをカラー表示することさえできなかった。パソコンならば本当に驚くべきグラフィックを提供できる。より本格的なゲームという感じだった。

もう一つ、パソコン版では重要な発見があった。この事に気づいたのはいつかわからないが、もしかすると高校生にはいってからかもしれない。パソコンは、データを直接いじることができるのである。すなわち、バイナリエディアでセーブデータを開き、パラメーターを変更する。これでいつでも簡単に軍師を作れるようになったが、ゲームそのものの面白さはなくなってしまったような気もする。僕の興味は、セーブデータのどこにパラメーターが保管されているか、どういうチェックサムが働いているかを調べることにだんだんと移っていった。

当時はインターネットもない。断片的な文章をもとに手がかりを探し、その手の書籍を秋葉原にまでわざわざ探しにいった記憶がある。ウィザードというコピープロテクトを解除し、さらにはバイナリエディタとして機能するソフトが広まっていた時代だった。その追加ソフトや説明書を読みながら(どこで手に入れたのだろうか?秋葉原だろうか?)、少しだけ僕は知識を得ることができた。あの時、周りにもっと詳しい人がいて、もっと情報を得ることができたら。あの時、インターネットが広まっていて、もっと情報を得ることができたら。たぶん、また別の道が開けていたに違いない。

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