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2012年5月6日日曜日

ポストモダン・マーケティング


スティーブン・ブラウン著 ルディー和子訳『ポストモダンマーケティング』ダイヤモンド社、2005.

お、翻訳されたんだ、と思って買ってみた一冊。。。残念ながら間違えたみたい。Stephen Brownだということで、てっきり、『postmodern marketing』 の翻訳だと思ったのに。。。(ちなみに、ずっと「ステファン」だと思ってたよ。。。)まあ、タイトルを日本向きに変えるのはよくわかるけど、ねえ。この本の原著は、『Free Gift Inside!!』。

この本は、学術書ではなくて、ブラウンがわかりやすく持論を書いた一般書だと思います。その意味において、主張もわかりやすいし、さくっと読めてしまいます。主張というのは、副題にあるとおり、マーケティングにおける「顧客志向」批判、という感じです。このあたりは、個人的には可もなく不可もなくというところでした。1、2章を読めば全体像はわかりますし、それ以降を読めば具体的なケースなどがわかります。

さてさて、この本をどう評価するか。主張そのものはよくわかります。ケースも面白いです。リーバイスの話やエジソンの話などは、知っている話とはいえ、いわれるように顧客志向、あるいは、それ以前の技術志向の視点に相対するケースだと思います。ということで、そういうことです。そういう本だと思います。それ以上にこの本から何かをとりだすということは・・・ということで、やはり、この本で一番面白いと思ったのは、最後、「全部読んだなんて信じられない」という一節(笑)、この意味を理解できるかどうか、このあたりが、「顧客志向なんて捨ててしまえ」に対する答えなんでしょう。
(初掲載2005.01.31)

追記
その後読んだ限りでは、コトラーとの往復書簡のやり取り(ハーバードビジネスレビューに所収)などで、ブラウンの狙いがよく見えるように思う。