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2016年5月11日水曜日

ふるさと納税をしてみる(2016)

以前から興味があったのだが、仕事やら引越やらの関係もあってなかなか始めることができなかったふるさと納税。本当は去年やれたはずだったことにも、今更気づいた。住民税が実際に減ることになるのは、手続き後の翌年になるからだ。引っ越す前にやっておけばよかった。

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控除されたお金はいつ戻ってきますか? 総務省HP
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そんな中、数年見送っているうちに随分と制度が変わって、より魅力が増したようだ。確定申告が基本的に不要になったというのは手続き的な魅力だが、それ以上に、控除の対象となる寄付の上限が2倍になったということのほうが直接的なメリットは大きい。たくさん寄付できる(税金控除の範囲において)ようになったということである。例えば、給与収入が500万円ならば、おおむね3万から6万程度が控除の範囲で寄付できる。

だが、そもそも、ふるさと納税のメリットはわかりにくい。「控除」の意味がとりにくいからだと思う。個人的に調べた限りでは、「控除」自体は、実質的なメリットはほぼない(最初は、節税の効果もあるのかと思っていたが、これはほとんどない気がする)。

たしかに、ふるさと納税を行うことで、その金額は、所得税か住民税から控除される。けれども、それは単に、今住んでいるところに納められる予定だった税金が、寄付という形で、別のところに納められたというだけである。納める額そのものが減るという訳では、必ずしもない。









総務省 ふるさと納税ポータルより転載

まず、2000円については自己負担金となっており、もちろん何のメリットもない。2000円は、自分でビールでも飲んで消費した場合と同じである。

次に、所得税からの控除がある。ここは、累進の所得税に合わせて、ふるさと納税分の一部が控除され、還付される。一見還付というと得したようにみえるが、ふるさと納税という形でその額を寄付しているのだから、いってこいである。

残りの住民税についても同様にいってこいの形をとる。最初の基本では、ふるさと納税から2000円を引いたものの10%、要するに通常の住民税が還付される。そして、残った部分が、特例としてさらに住民税から還付される。

これでふるさと納税した分がすべて還付されることになるが、別に得をした訳ではない。繰り返していえば、本来通常納税されるはずだった金額が、別のところに寄付され、寄付行為で先に払った分が、後から戻ってくるというだけである。

よく聞く話として、有名人が税金で持っていかれるぐらいなら寄付した方がましだというのだが、これは、そもそも税金全部を自由に寄付できるというわけではない。寄付は、ビールを飲む消費とは違い、その一部が税金の課税対象から控除されるというだけである。普通に所得に税金はかかる。これに対して、ふるさと納税は、まさに、税金で持っていかれるぐらいならば寄付した方が(社会的に?)ましだ、そのままであるといえる。それ自体、寄付する側にとっては何のトクにもならない。

トクがあるとすれば、それゆえに、寄付した自治体から送られてくる(と思われる)、さまざまな「お礼」である。こちらは、通常の納税ではもらえないはずであるから、この分が唯一のトクということになる。2000円を払い、どこまでもらえるのかというわけである。

興味深いことに、この数年で多くの地方自治体が魅力的なお礼を用意するようになり、さらに、これらを簡単に選択し選ぶための企業やサイトが立ち上がった。検索してぱっとわかるところでは、「ふるさとチョイス」「さとふる」が大きいようだ。とりあえず登録しておけば、いつでも気軽に寄付できる。クレジットでもいけるところが増えているのがすごい。

試しに10,000円を寄付してみたのだが、数日後には寄付金受領証明書が届いた。後はこれを確定申告の際に一緒に出せばよい。あるいは、確定申告したくなければ、ワンストップ特例制度の方の書類を送ればよい。あとは、そのうちお肉が届くとともに、来年10,000円が税金から控除される。実質的にこちらはトクをしたことになる。3万円税金にとられるくらいなら、3万円寄付して、その代わりにちょっとお礼の品でももらおうかという感じだろう(もちろん、もっと純粋に寄付して悪いわけではない)。