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2013年3月14日木曜日

数学ガール

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)
結城浩『数学ガール (数学ガールシリーズ 1)』ソフトバンククリエイティブ、2007。 

オイラー展開にまつわる数学の証明を軸にした小説風の読み物。タイトルだけをよむと『もしドラ』系をイメージするが、中身は相当に数学的な証明が続く。恐らく読み手として想定されているのは、オイラー展開をすでに知っている人という感じだろう。

理系数学の知識がない身としては、途中の証明プロセスはよく分らないところが多かった。登場人物でいえば、テトラと同等か、彼女にも及ばない。とはいえ一方で、高校のころに勉強したような数学を思い出しながら、こういう授業をどこかで受けられていたら、もう少し数学の楽しさがわかったかもしれないと感じる。

抽象化された数学式は、証明の空間としてあるようだ。昔の授業のさいに、教師が延々と黒板だけに向かって式の展開やら証明を書き続けていたことを思い出す。だからなんなのだ、結果さえわかっていればそれで十分ではと、今でも、思うけれど、その証明の空間の楽しさこそ、彼らは本当は伝えるべきところだった。それは、自分が証明してみせるもののではなくて、その意味を伝え(たぶん、この力が、教師にはほとんどないのだろう。単純に、その才能はないから)、生徒を引っ張り込める空間とみるべきだった。

わからないなりにも、いくつか面白いところがあった。例えば、素数に1を含めない理由は、素因数分解の一意性が崩れてしまうからだという。なるほど、そういう理由かと思った。また、振動するようにみえる数式を回転として捉え直すとsinθやらcosθでの記述になるということも、新鮮だった。数学の初歩なのかもしれないが、引き続き、読んでみようと思う。

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