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2012年12月25日火曜日

直感力

直感力 (PHP新書)
羽生善治『直感力 (PHP新書)』、2012

将棋は遊びとして知っている程度だから、その道のプロがどういうレベルに到達しているのかはわからない。とはいえ、羽生さんの本は、以前にも何冊か読んだことがあるし、テレビの特集もいくつかみたことがある。たしかに、天才的な一手がどのように生まれているのかを知ることができれば、我々凡人にも大変有用であろうと思う。

そういうわけで将棋の細かい話はよくわからないのだが、一番印象深かったのは、冒頭に書かれていた「私はずいぶんと見切りが甘いらしい」という話だった。見切るということが将棋では重要になる。しかし、羽生氏自身は、この見切りが意外にも甘い、と自身で言っている。

しかし同時に、この見切りの甘さこそが、自身の強さであったかもしれないという。すなわち、多くの人が見切ってしまう手を採用してしまうということ、そして採用してしまったが上に待ち構えている困難の中で、それでもなんとか次の一手を見出そうと努力すること、これこそが、重要だったのではないかというわけである。

偉そうなことはいえないが、何となくわかる気がする。将棋に限らず、意思決定の多くは見切る作業を伴う。見切りの甘さはもちろん命取りでもあるが、なんというか、誰も見いだせなかった何かに到達は、その甘さの向こう側にある。

解釈の仕方はいくつかあるだろう。実際にやってみることで未来が見えてくるとか、あるいは、困難こそが未来を切り開くとか。そういうものかもしれないし、もう少し、ここには含蓄があるのかもしれない。もう少し知りたいと思う。

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