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2012年11月5日月曜日

ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛

ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛
リチャード・ブランド『ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛』日経BP社、2011→2012

 今も成長を続けるアマゾンについて、特に社長であるジェフ・ベゾフに焦点を当てて考察した一冊である。2011年発行、さらにはタイトルも印象的で読んでみたのだが、大半は2000年頃までの話に終始している。この手の話はすでに日本人の手によるものまでずいぶんと出ていたのではないだろうか。細かい議論では発見もあるのだが、全体的には古さを感じる。 

最後の方でようやくKindleが登場し、最近の話になる。アマゾンvs出版社といったテーマはとても興味を引くのだが、こちらもそれほど新しい情報はなかったように思う。これは著者の問題というよりも、ずいぶんと隠されたトップシークレットなのだろう。今後の展開をみるしかないのかもしれない。

タイトルがせっかくクリックなのだから、この辺りはもう少し結びつけられたのではないだろうか。Kindle話も、しかしすぐに終わり、またベゾフ論になる。こちらもずいぶんといわれてきた話のような気がする。

 アマゾンに興味を持ち、ジェフ・ベゾフについて知りたいと思った人が、はじめて読むというのならばこれでいいかもしれない。しかし、日常レベルでさえ、アマゾンに触れるようになっている我々にとっては、もう一歩踏み込んでもらえなかったのだろうかという気もする。 

個人的に知りたいデータは一つあって、なるほどと思ったのは、アマゾンのマーケットプレイスのくだりだった。やはり収益として大きくなってきているようで、フォレスターリサーチによるデータで、2010年最終四半期で全体の約35%だという。

あと、改めてこの本を読んで思ったのは、アマゾンが利益が出なかった当時、規模をできるだけ大きくしようとしていたということだった。ビジネスとしてどちらが正しいのか、よくわからないが、最初にシェアをとって後続を抑えるというのは一つの方法なのだろう。あるいは、一歩抜きんでれば、後は倍々ゲームで差が広がるだけということなのかもしれない。

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