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2012年8月21日火曜日

われらゲームの世代44

ドラゴンクエスト4

ドラクエ4は、史上初(多分)の章構成になっている。まるで本のようだ。とても新鮮だったし、これを真似て、以降章立てになっているRPGがたくさん作られた。第5章「導かれし者たち」が本章となっており、第5章につながる形で各章ではそれぞれ主人公が変わる。

もう一つ特徴だったと記憶しているのは、AIの導入である。これまではキャラクターすべてにコマンドで指示を出せていたのだが、ドラクエ4では第5章から主人公以外は操作できない。大まかな方針を与えるだけで、後は各自がAIのもとで戦うことになる。当時はじめてAI(人工知能:Artificial Intelligence)なる言葉を知り、そんなにすごいものがゲームに搭載されるなんてと思った。

しかしまあ結果として感じたことは、AIってたいしたことないなということであり、やっぱり人の方が賢いよなということだった。この感覚は、僕にとってはかなり大きな意味を持っていた。

当時、多分中学生ぐらいだったと思うが、僕にとっての理想はコンピュータであり、一種の機械だった。冷静に、客観的に、与えられた計算結果をはじき出す。できるだけ主観を省き、人間的な感情に流されず、的確に判断する。いかにしてそうした状況を実現するのかが大事だと思っていた。

AIはその理想形態のように感じていたわけだが、これが信じられないほど使えない。ベホイミを使うべきときに使ってくれなかったり、逆に突然薬草を使ってみたり、効かないザラキを使ってみたり。特に特殊キャラといえるメタルスライムやはぐれメタルを相手にする際にはこの手のAIは本当に始末が悪かった。

もちろん、もっと高度なAIならば、違うのかもしれない。いまであれば、もっと違うのかもしれない。しかし、当時の僕にとって、AIとはドラクエ4のそれである。やっぱり人間は大したものだと見直したのだった。


ドラゴンクエストIVのあるきかたコンピュータには何ができないか―哲学的人工知能批判パーセプトロン