ラベル

2012年7月31日火曜日

われらゲームの世代29

太陽の石

ドラゴンクエストはちゃんとやった記憶はないのだが、一方でいくつかのクエストを印象深く覚えている。先の復活の呪文や竜王の誘惑もそうだが、「太陽の石」探索クエストがそれだ。

竜王の城にわたるために必要となるイベントアイテム「太陽の石」は、ゲーム中盤から終盤にかけて手に入る。一方で、しかし太陽の石は、ゲームが始まると同時にみることが出来る(いや、直接には出来なかったかもしれない)。その場所は、主人公の出発点となる居城ラダトームであり、ラダトーム城をつくる壁の向こう側に、宝箱だか地下室へ至る階段がある。太陽の石はそこにあるのだ。

わかってはいるのだが、そこには鍵がないといけず、しかも、壁の向こう側のため、普通はそちらに出られるかどうかがわからない。一度知ってしまえば、序盤でもとりにいけるのだが、知らなければ本当に永遠ととることが出来ない。この存在を誰かから聞くか、あるいは攻略本で見た時、あぁそれはすごいと思った記憶がある。

何がすごいと思ったのかは覚えていない。ゲームが謎解きとしての側面を有しつつあったこの時代、灯台下暗しの方法はきっと当たり前だったに違いない。それはまさに、ポートピア連続殺人事件の犯人がそうだったように。

まずは自分を疑うのだ。足下を見直すのだ。このエッセイの目的がそうであるように。そういえば、こうした論理は、RPGゲームに始まるというよりは、どうやらゲド戦記の第一部、かげとの戦いに起源をみることが出来るらしい。

ゲド戦記はジブリが映画化して知名度を上げたが、あれは第三部、最果ての島へをもとにしている。当初の第一部では、主人公はみずからが生み出してしまった自分のかげと戦うことになる。主人公が強くなればかげが弱くなり、かげが強くなれば主人公は弱くなる。自分が追いかければかげは逃げ、自分が逃げればかげは追いかける。自分とかげは2つで一つであり、同じ名前のもとにある。主人公とかげは、最後に同じ名を呼び合うことで一つになる。

ゲド戦記 [DVD]影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)ゲド戦記(6点6冊セット) (岩波少年文庫)