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2012年7月23日月曜日

われらゲームの世代23

RPGとリセット
象徴としてのロールプレイングゲーム

さあ、いよいよゲームのメインテーマへと入ろう。RPG、ロールプレイングゲームである。当然というべきか、ドラゴンクエストとファイナルファンタジーを軸にしていくことになるが、その前に、今回は問題意識を少し確認しておこうと思う。

おそらく、今も昔も、テレビゲームに寄せられてきた多くの批判は、RPGを念頭に置いてなされてきた。最も定番と言えるリセット問題も、RPGのことを指したものであろう。それまでの多くのゲームと異なり、RPGは、まさにロールプレイング、実世界の代替物のような形で世界が構築されている。シューティングゲームをしても、それは現実世界で水鉄砲したり、お祭りのときに射的をするのとそんなには変わらない。これに対して、RPGの場合、まさにはまる、入り込むという状況が生まれる。これを異常なものと見なす人がいても不思議ではない。

考えてみれば、RPGは一人でやることが多い。対して、シューティングゲームなどはみんなでやるだろう。ここからも、RPGが何かとゲームの批判対象として取り上げられやすかったのかもしれない。実際には、しばらくの間、RPGといえども友達と一緒にやっていた気はするし、オンラインとなれば全く話も変わりそうだが。

それからもう一つ、ドラクエ以降ゲームが社会現象として認識されるようになったということも重要なことかもしれない。いつからそんなことが起きるようになったのか分からないが、お店に並んで購入するゲームソフトといえば、ドラクエ以降という印象がある。

面白そうなので、新聞記事検索でまとめて調べてみた。「ドラゴンクエスト」で見てみると、タイトルにドラゴンクエストと表記されていたのは1987年2月9日の日経産業新聞であり、「任天堂の「ドラゴンクエスト2」、即日完売店が相次ぐ――エニックスが開発。」とある。「行列」の言葉は本文にもないが、発売とともにお店に顧客が殺到したという。ちなみに、その前の記事が最初の記事で、タイトルに表記はないが、1986年6月26日の日本経済新聞、「ファミコンソフト値崩れ――半値以下の販売も目立つ」とある。内容でドラゴンクエストが取り上げられており、5500円が定価のところ、4500円位で売られているのだという。どちらかというとネガティブな記事かもしれないところがまた興味深い。

記事がたくさんありすぎるので、日本経済新聞にしぼって数量的に取り扱ってみよう。同じく「ドラゴンクエスト」でみてみると、2012年7月までで全326件がヒットした。最初の年は先ほどの1986年である。これを年毎で記事数を割り出していくと、簡単なグラフを描くことができる。個人的に、記事の話題はだんだん増えていくのかと思ったが、そういう感じでもない。新しいゲームソフトが発売されると、当然だが記事の数が増える。

記事数が増えている1988年は、ドラゴンクエスト3が発売された年である。このあたりに、行列やら恐喝やら抱き合わせやらといった社会問題が発生しているようだ。以降、1990年のドラゴンクエスト4のあたりでも同じ記述が繰り返されている。

ちなみに、対抗馬といえるファイナルファンタジーでも同じ検索ができる。「ファイナルファンタジー」で日本経済新聞を検索してみると、記事数は301件、初出は1990年とドラゴンクエストよりも大分遅い。ピークは1997年であり、FF7が発売されたときのようだ。ずいぶんとドラゴンクエストとはおもむきが違うようにも見える。

図.「ドラゴンクエスト」の記事数推移(件数:日経)
※Ⅰ:86、Ⅱ:87、Ⅲ:88、Ⅳ:90、Ⅴ:92、Ⅵ:95、Ⅶ:00、Ⅷ:04、Ⅸ:09
図.「ファイナルファンタジー」の記事数推移(件数:日経)
Ⅰ:87、Ⅱ:88、Ⅲ:90、Ⅳ:91、Ⅴ:92、Ⅵ:94、Ⅶ:97、Ⅷ:99、Ⅸ:00、Ⅹ:01、Ⅺ:02、Ⅻ:06、13:2009、14:10