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2012年7月16日月曜日

日本を変えた10大ゲーム機

日本を変えた10大ゲーム機 (ソフトバンク新書 87)
多根 清史『日本を変えた10大ゲーム機 (ソフトバンク新書 87)』、2008

さきに『教養としてのゲーム史』を紹介したが、本書はその前に書かれている。完成度は断然こちらのほうが高いと思う。とても興味深い内容だった。ゲーム機の歴史を10台のハードを軸にして描いているわけだが、あまり知られていない事実も含め、そのストーリー展開に引き込まれる。 

個人的に分かっていなかったのだが、ファミコンはずいぶんと高性能の機械だったようだ。CPUはともかく、GPUについて先行的な投資をリコーを含め行ったという。8色しか色が出ないと思っていたが、64色可能だった。

ファミコンの成長にあわせた雑誌やマンガといった補完産業の立ち上がりもまとめられている。高橋名人や毛利名人の下りはもはやなつかしいとしか言いようがないが、当時のビジネスの裏側をみる事ができる。

近年の携帯型競争やwii・PS3の競争についてもわかりやすい。既存の資産が強みになるのか、それとも足かせになるのか。他の資産がシナジーを効かすのか、それともやはり足かせになるのか。注意深く判断すれば答えが見えるというわけではなく、むしろ、注意深く判断したからこそ傷が大きくなってしまうようなこともあるようだ。

最後の議論をふまえると、ハードメーカーとソフトメーカーの関係性が変わりつつあることがよくわかる。すべてのハードに同じソフトを提供するマルチプラットフォームが当たり前になりつつある今、ハードメーカーの戦略は新たにならねばならないといえる。

任天堂 “驚き”を生む方程式 マーケティング革新の時代〈2〉製品開発革新イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)