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2012年7月3日火曜日

われらゲームの世代10

風雲録

「教育」や「文化」はゲームの進行そのものにあまり関係がないといったが、さらに群雄伝の続編となる『信長の野望 武将風雲録』では、むしろ「文化」が大事な要素になった。文化のパラメータとそれに伴う武将の「教養」のパラメータによって、他大名や朝廷、商人との関係も変わる。

「教育」との関係がどうなったかは忘れてしまったが、きっともっと大事になったはずだ。この仕様の変更の理由について、僕のように「文化」に興味を持ったユーザーが多かったからなのか、それとも逆に、誰も気にしなかったパラメータだったからなのかはわからない。前者であることを今は信じておこう。

教育という点で言うと、のぶやぼは僕自身にとっても学びの教材だった。歴史を知るというよりは、これをきっかけにしてこの時代に興味を持ち、あれやこれや読書をするようになる。調べ物も増えた気がする。

そういえば、武将風雲録を遊んでいた頃、1990年発売というからどっちだろうか、小学校か中学校の修学旅行用の文集を作っていた。京都に行くということであれやこれや書くことになり、何を思ったか武将風雲録のガイドブックに書かれていた茶器の歴史を書き写した記憶がある。信長は茶器を愛でることを通じて、茶器に土地と同じだけの価値を作り出し、部下への報賞の選択肢を土地から茶器へと移すことに成功したという。今風に言えばマーケティングであり、印象に強く残る一節だった。

ちなみに、できあがった文集についていうと、他のページはかわいい絵とか、地図とか、なにか分かりやすいキャッチコピーがならんでいた気がする。対して、僕の担当したところは完全な文章だった(しかも、多分コピペ)。とても小さな字でびっしり書いた。当時は満足度が高かったが、今思うと頭がおかしいこと極まりない。

学ぶという点では、このころか、あるいはもう少し後になってか、光栄は歴史小説もいくつか発表するようになった。ifシリーズとよばれるもので、もし、信長が生きていたら、であるとか、もし、神風が吹かなかったら、といった設定で書かれた小説だった。これらはとても面白かった。ゲームの世界は、当然ifの世界である。その世界を改めて小説というifの世界で描き出すことで、新しい楽しみが生まれることを知った。普通は小説で先にifを知るのかもしれないが、少なくとも僕はゲームから知ったことになる。


【茶器/茶道具・佐藤浄清作】風炉釜 利休好写 尻張釜 茶道研究 茶器の見方