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2012年6月9日土曜日

コンサルティングとは何か


堀紘一『コンサルティングとは何か (PHPビジネス新書)』、2011。 

タイトルの通り、コンサルティングとはなにか、コンサル企業がなにをしているのかを説明している。 同時に、コンサルティングに必要な能力やノウハウも紹介されており、なるほど、そういう風に考えれば良いのかと思わされるところが多い。

企業にとって外部からの調達となるコンサルティングは、しばしば、なぜ必要なのかが問われることになる。本書でも指摘されるように、本業でもないことがどうしてわかるのか、机上の空論ではないのかといった批判が繰り返される。だが、これは単なる誤解であるという。スポーツの例が挙げられているが、一流のプロフェッショナルには、一流のコーチがつく場合が多いが、そのコーチがかつて一流のプロフェッショナルであったかどうかはまた別の問題である。あるいは論理的にいおうとすれば、本業でなければわからないのであれば、どうして今業績が悪いのかがわからない。業績が悪いのは、本業ではわからないことがあるからだろうというわけだ(業績が良ければ、もちろんコンサルは要らない)。

コンサルティングに答えはないという主張も興味深い。答えを欲することは間違いではなく、最終的な目的には違いないが、コンサルティングが答えを持っている(そして、それをお金を出すと見せてくれる)というわけではない。答えを求めて考えるということにこそ、コンサルティングに対価が発生する理由があるという。

さらに、考えるということは頭の中で徒然作業するということだけを意味しない。むしろ、徹底して現場に赴き、事実を集め、それを分析するという実活動を伴って始めて意味を持つ。その際には、例えば部門間の「ずれ」を見つけていくことが一つの方法になるという。そのずれをつめていくことで、一つの方向性が見えてくるということだろう。

どういう業種でも参考になりそう内容だが、それにしても、コンサルティング業界の給料の良さには驚かされる。それには理由があることはわかるが、文字通り桁が違うようだ。