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2012年6月28日木曜日

われらゲームの世代7

中古という新しさ

こうして三国志は僕の記憶に強く残っているが、もっと強く残っているのは『信長の野望』(通称「のぶやぼ」)の方である。こちらはどこではじめてやったのか覚えていない。もしかすると、三国志を遊んだ時、友達の家にのぶやぼもあり、遊んだのかもしれない。よく覚えていない。

覚えているのは、それからどのくらいだったかしばらく経った頃、家の近くで中古ゲームソフトの販売会が行われたのだった。今思えば変な話だが、近くにデイリー山崎のお店があり(当時は、デイリーではなく、駄菓子屋といった程度だったかもしれない)、そこに数週間前から張り紙が出された。来る○日に、中古ゲームソフトの販売会を行います。販売だけではなく、確か、買い取りもしますという話だった。

中古販売や買い取りの話を聞いたのはそれが始めてだったから、とても印象的だった。当然、周りの友達も含め、みんなで当日見に行ったのを覚えている。基本は子供相手の商売だから、ずいぶん儲かったに違いない。特に買い取りに関しては、明確な金額などあってないようなものだ。書いていて思い出したが、僕も10個ぐらいいらないゲームソフトを持っていって、さらにいくらかお金を足して、多分、ジャンプのゲームを買った気がする。ゲームボックスは片付いたが、ずいぶんと損をした取引だった。

まあそれはそれでいい。とにかく、販売されている中古ソフトの一つに、のぶやぼがあったのだった。僕は色めき立ったが、金額は8500円。はっきりと覚えているところが正直おかしい。その金額に相当なインパクトがあったのだろう。普通のソフトは定価で4000円ぐらいだったはずだ。到底手が出る値段ではなかった。定価は、おそらく9000円強だったと思うから、中古でも意外に高く売られていたことになる(9800円か)。

考えてみると、ファミコンのゲームは当初ほぼ一律の価格設定だった。4500円が平均だったのではないだろうか。これがやがて崩れていく。どういう経緯なのかはわからないが、データ容量が大きくなったり、あるいは作り手の作業量が増えたのかもしれない。いつものようにwikiで調べてみると、例えばドラゴンクエストはすでに5500円からスタートしていて、3で5900円とある。ロムの原価がどの程度だったのかは知る由もないが、多くは人件費だろう。この手のデータから作られる商品は戦略的な価格設定が可能であり、それによって利益は大きく変わるはずだ。このあたりは任天堂がうまく管理していたのだろうか。

もちろん、当時はそんな価格のことを考えるほどの知識もない。とりあえずジャンプのゲームを買い、それはそれで満足していた記憶もあるが、一方でのぶやぼも忘れられなかった。幸運だったのは、その日は多分夏休みかなにかで、神戸から祖父母がこちらに来てくれていたことだった。家に帰ってそれとなく(いや、多分にそれこそ戦略的に)のぶやぼの話をすると、それでは、ということで祖父が話に乗ってくれた。二人して販売会に取って返し、めでたく、僕はのぶやぼを手に入れたのだった。暑い日だったと思う。

僕が最初に手に入れた光栄のソフトは、この中古の信長の野望だった。定価であれば9800円(おそらく)。印象的なカセットで、普通のカセットよりも頭が長かった。今思えば、データ容量が多かったということだろう。それだけ値段も高くなる。イラストも印象的で、顔のない鎧兜が描かれていた。後のシリーズはすべて人が描かれていたことを思うと、この顔のない鎧兜は何か示唆的でもある。


信長の野望・全国版 コーエー25周年記念パック VOL.1 維新の嵐 信長の野望 全国版 伊忍道 信長の野望・革新 マニアックス