ラベル

2012年5月22日火曜日

愛されるアイデアのつくり方


鹿毛康司『愛されるアイデアのつくり方』WAVE出版、2012

昨今のエステーの広告を企画している鹿毛氏による一冊。副題には、ヒットCMを生み続けるエステー式「究極の発想法」とある。 

エステーの広告で一番印象深いのは、震災後のCMだろう。 震災の際にACの広告ばかりが流れる中、かなり早い段階でミゲル君が消臭力の歌を歌う広告を制作した。 自粛ムードが漂う中、広告としてなにができるのか、その一つの方向性を提示するとともに、その後の流れを決定づけたように思う。その印象は強く、いつか震災時の広告研究が行われることがあれば、重要な分析対象になるといえる。



本書で書かれているように、CMには、常に「偽善」が含まれている。どんな広告であっても(ACを除いて)、商品を買ってもらいたいというメッセージから自由にはなれない。その制約をいかにしてコミュニケーションの可能性に繋ぐのか、これこそがクリエイターに求められている課題だろう。 

具体的に何をすればよいのか。それはひとまず本書を読んでから考えても遅くない。そのやりかたは一つではないし、きっと個性がある。月並みだが、常識を踏み越え(るために)、あっちこっちに頭をぶつけながらやる必要があることは確かだと思う。