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2012年5月6日日曜日

ゼミナール マーケティング入門


石井淳蔵・栗木契・嶋口充輝・余田拓郎『ゼミナール マーケティング入門』有斐閣、2004

マーケティングの入門書ということで、いや「入門」と書いているので、
広くマーケティング一般を捉えた教科書です。
その特徴はというと、教科書とはいいながらも、
全5部構成の中で後半3部がかなり先鋭的だということでしょうか。
特に、第7章・消費者行動の理解や第10章・プロセスとしての競争などは、
かなりオリジナリティが高いといえるでしょう。
にもかかわらず、あくまで教科書ということで、
あっさり読めてしまえるところがなかなかです。 読
み手の対象は、ビジネスマンがメインで、次に学生という感じかと思います。
(初記載時2004.11.11)

追記
2004年から8年近くが経ち、 改めて読み返してみると、
ずいぶんと時間が経ったことを感じる。
事例が陳腐化することは当たり前だが、
その一方で、理論についてさえ、
マーケティングではやがて陳腐化していくのかもしれない。

当然、ネットに関わる議論はほとんど含まれていない。
もっとも、この点については事例の陳腐化という程度の問題だろう。
ネットが登場したからといって、マーケティング理論そのものは、
おそらくそう簡単には変わらない。

むしろ気になるのは、
マーケティング・マネジメントを出発点として、
戦略論を意識して構築された理論構成であり、
最終的に関係性やブランドが議論されることになるという全体の構成である。
むろん、これ自体、マーケティング論の基本的な枠組みには違いないが、
初版から8年経ち、新しい可能性が見えてきているのではないだろうか。

いうまでもなく、
コトラー達のマーケティング・マネジメントもずいぶんと構成が変わっている。
真似する必要はないだろうが、一つの分岐点に来ているように感じる。