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2012年5月6日日曜日

行為の経営学


沼上幹 著 『行為の経営学』白桃書房、 2000

いうまでもなく経営学における革新的著作ということで、あるいは、少なからず方法論研究の問題を共有するという点において重要な本かなと思っております。難しい本ではありますが、しかしそれでも、かなりわかりやすいところがさすがです。

方法論研究としては、変数のシステムと行為のシステムを比較して捉えつつ、両者の接合を図るという点において、王道を行く論理を展開しているように感じます。このあたりは、研究者としてはわかりやすいところではないでしょうか。

しかしまあ、この本でオリジナルなのは、両者の接合に際して「意図せざる結果」を中心においているというところでしょう。行為の帰結として生じる意図せざる結果をどのように理解し、改めて行為に取り込むのかという点において、経営の本質が存在すると同時に、変数のシステムと行為のシステムを接合できる中心が成立するというわけです。

さてさて、そして最終的に導かれるのが、間接経営戦略ということになります。意図せざる結果を踏まえた戦略ということでしょうか。ミシュランなんかの例が挙げられています。これはこれでわかりやすいし、やはりなるほどです。
(初掲載2004.11.16)

追記
改めて読むと、実に多くの議論が組み込まれていることがわかる。当時はわからなかったが、ゲーム理論しかり、ギデンズしかり、奥が深い。