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2012年5月6日日曜日

マーケティングの神話


石井淳蔵 著 『マーケティングの神話』岩波現代文庫、 2004.

リンゴの絵がなくなってしまったのが残念きわまりないところですが(笑)、もう「それ」は問題ではないということの現れなんだろうと勝手に思っております。いいことですよね。

いうまでもなく、オリジナルは1993年なわけで、それから10年経ってもなお通用するマーケティング本というのは、まあ学術本は当然息が長いはずですが、なかなかなことだと思います。あるいは、マーケターはもちろん研究者も、その多くが、この時点の認識で止まっている可能性があるということも意味しているのかもしれません。ようするに、この本がこうして再登場する背景には、まだまだ、時代がこの本に追いついていないと(笑)…いいすぎかなぁ。

中身についても、いまさらとやかく言うこともないわけですが、10年経って読んで思うことは(といっても、僕が最初にこれを読んだのは6、7年前かな)、ここからよく先に進めたなぁということ。マーケティングという活動が、決して巨大な歯車でできた機械ではなくて、もっとかなりぐちゃぐちゃしたものだと言ったまでは誰でも理解できそうだけれど、ではそこからマーケティングがどうあればいいのかを理論的に問うことができた本はほとんどない、かもしれない。

そういう意味では、この本の評価は、99年の『ブランド』や、04年の『営業が変わる』を踏まえないとよくわからないだろうし、逆にこれらの本も、ここからの連続として捉えないとその意味は極小的に捉えられてしまうだろう。単なるブランド論、単なる営業論という感じで。これらはどれも一つの答えなのですよ、きっと。
(初掲載2004.12.20)

追記
偉そうな書評を書いていた自分に反省する。わからないこともないが、今ならば,もう少し丁寧に議論できるかもしれない。