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2012年5月12日土曜日

ソーシャルメディア社会論


武田隆『ソーシャルメディア進化論』ダイヤモンド社、2011

自身の活動を振り返りつつ、ソーシャルメディアをはじめとするコミュニティサイトの可能性について考察している。全体としてよみやすく、また後半の議論は事業そのもののビジネスとしての可能性も感じられる。

特にコミュニティサイトを2軸で分類している図表はわかりやすい。横軸は、情報交換ー関係構築を分類し、縦軸は、価値観ー現実生活を分類する。ざっくりと対応し直せば、横軸は、ユーザーの短期ー長期利用の傾向を表し、縦軸は、匿名ー非匿名の傾向を示すと考えられる。この象限で多くのサイトを分類できるとともに、企業がそれぞれをどのように担い、また対応すべきかを考えることができる。

特に企業の対応という点では、企業コミュニティに再注目しているところが興味深い。一時期に比べると企業が自らのHP内にコミュニティ機能を有する必然性が薄れているようにも見えるが、本書の議論に従えば、むしろ企業コミュニティは新たな役割を与えられて復活しつつある。

とすれば、進化というよりは、行ったり来たりの流行の中で、総体として何かが変わってきていると言った方がいいかもしれない。しかしいずれにせよ、インターネットとのつきあい方について、現時点での見取り図を得ることができる。