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2012年5月6日日曜日

リフレクティブ・フロー


栗木契 著 『リフレクティブ・フロー』白桃書房、 2003

『マーケティング入門』がらみの専門書ということで。

タイトルだけみると、とてもマーケティングの本とは思えませんが、、、
中身は徹底してマーケティングの本です。ようするに、マーケティング(・コミュニケーション)にとって重要な概念として「リフレクティブ・フロー」なるものを提案する、というのがこの本の主旨なわけで、それがそのままタイトルになっていると。

では、「リフレクティブ・フロー」とは何か?
これは実際に読んでもらった方がいいのですが、簡単にいえば、人はモノを買ったりするときに機械のように判定を下すのではなくて、リフレクティブな形で判定を下す、ということかと思います。
例えば、自販機でコーヒーを買うというとき、我々はどうやって特定のコーヒーを選ぶか?これは条件さえ与えれば、機械でもできます。しかし、我々はそもそも、なぜコーヒーを買おうと思ったのでしょうか?その理由があるからこそ、コーヒーを買おうと思ったはずです。のどが渇いたから?ならば別にコーヒーでなくてもいいはず。疲れたから?ならば椅子に座ってもいいはず。・・・。

実は、この問題、そもそもの目的を問うていくプロセスは、機械にやらせるといつまでたっても終わらない。とすると、そういう機械ではコーヒーは実は買えないことにもなってきます。じゃあ人間はなぜ買えるのかなと、それがリフレクティブ・フローなるものだというわけです。
目的と手段を厳密に区分しきれない人間は、しかし、それゆえに、意思決定が可能になるのです。っと、まあ、そういう高尚なお話です。

まあ、それ以外にも、この本には、ファッションが流行するのはなぜかとか、 小説や物語が面白かったりつまらなかったりするのはなぜかとか、読み物として面白い話もいろいろ入っていますので、専門書としてではなく読んでもいいかと思います。
(初掲載2004.1.16)